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対空誘導弾、米国へ輸出容認 自公、ウクライナを間接支援

 防衛装備品の輸出ルール見直しに関する自民、公明両党の実務者協議は15日、外国企業の許可を得て日本企業が製造するライセンス生産品について、ライセンス元の国への輸出を認める方向性を了承した。例えば地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の米国への輸出が可能になる。自公実務者には、間接的なウクライナ支援が念頭にある。ただ従来のルールから踏み込むことになり、国内で批判が上がりそうだ。

自民、公明両党が開いた防衛装備品の輸出ルール見直しに関する実務者協議=15日午後、国会
自民、公明両党が開いた防衛装備品の輸出ルール見直しに関する実務者協議=15日午後、国会

 ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援する米国は武器、弾薬が不足している。自衛隊が保有するライセンス生産品には米国のPAC3や英国の弾薬などがあり、こうした国への輸出に道を開くことになる。
 与党は輸出後の適正な管理の在り方を詰めた上で、政府が定める防衛装備移転三原則の運用指針を見直す方針。事前同意を前提に第三国への提供も今後検討する。実際にどのような装備を輸出するかは時の政策判断に委ねる方向だ。米国などが強く要求し、殺傷能力がある武器の輸出が拡大することが懸念される。
 現行の運用指針では、米国のライセンスで生産した装備品は部品に限り米国や第三国に輸出でき、完成品は輸出できない。米国以外のライセンスに基づく装備の場合は部品、完成品とも一切輸出を認めていない。
 政府側は10日の自公実務者協議で、国際情勢を踏まえ「友好国と装備品の相互供給体制の構築が重要だ」と説明。完成品の輸出要請に応じられなければ、ライセンス元の国との信頼関係を損なう恐れにも言及した。政府、自民内には米軍の不足分を補うことができれば、同盟強化につながるとの意見がある。
 公明は完成品の輸出に慎重だったが、日本の安全保障に資するとの認識を共有し、容認に傾いた。目的外使用や第三国への提供に懸念が残っており、輸出後の適正管理の厳格化を図る考えだ。

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