テーマ : シニア・介護・終活・相続

介護計画作成にAI活用 ケアマネ業務効率化へ 静岡県、効果検証

 静岡県は介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するケアプランについて、人工知能(AI)を導入して業務効率化を図る取り組みに乗り出した。介護サービス利用者のビッグデータを活用し、質の高いプランづくりを後押しする狙いがある。高齢化の進行に伴い介護需要のさらなる増加が見込まれる中、県内のモデル事業所で効果を検証している。

ケアマネジャーの確保・離職防止に関する課題(県の実態調査、複数回答)
ケアマネジャーの確保・離職防止に関する課題(県の実態調査、複数回答)


 ケアプランは要介護度や生活環境などに応じて、介護サービスの種類や頻度を決める。利用者や家族の意向を踏まえてケアマネがつくるのが一般的だが、経験に頼る部分が多く、ノウハウの伝達も難しいとされる。
 AIシステムは利用者の基本情報や要介護認定情報などを入力すると、過去の膨大な情報から利用者の状況に適したケアプラン案や将来の状態予測などを提案する。要介護度が改善に向かったデータを示したり、不足している情報を指摘したりすることも可能という。
 ケアプランの作成時間が短縮されれば、ケアマネの業務負担を軽減でき、利用者にとっても手厚いケアなどサービス向上につながる利点がある。県は伊豆の国市と牧之原市のモデル事業所計20カ所に対して導入を支援している。2月ごろに報告会を開き、成果を発表する予定。
 県内のケアマネ登録者数は2023年4月1日時点で1万8138人と増加傾向にある。一方、介護需要は高まり続け、ケアマネの確保や定着に向けて業務の負担軽減や処遇改善が急務だ。県が23年に実施した実態調査によると、「新たにケアマネを募集しても採用につながらない」「資格取得者が少ない」「高齢化が進んでいる」などの課題が浮かんだ。
 県はケアマネの資質向上を図る評価表「キャリアラダー」を作成し、キャリアアップを支援する取り組みも進めている。介護保険課の担当者は「利用者にとってより良いケアプランの作成につなげ、介護サービスを充実させていきたい」と話す。
 (政治部・森田憲吾)

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