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骨粗しょう症 服薬間隔 長いもの多く【もっと広がる クスリの世界】

 骨粗しょう症は、骨密度が低下して骨の強度が弱くなったり、骨質が劣化したりする疾患です。骨粗しょう症になると、ちょっとした転倒や尻もちでも骨折することがあります。発症率は男性に比べて女性の方が高いです。
 骨密度の低下の主な原因に加齢が挙げられます。高齢になるにつれて腸でのカルシウムの吸収が悪くなるため、骨が弱くなってしまいます。一方、骨質の劣化は、コラーゲンの硬化が原因で起こります。高齢者以外で骨粗しょう症に注意する必要がある人は、閉経後の女性です。閉経により、骨密度を一定に保つ働きのある女性ホルモンの分泌量が急激に減ってしまうためです。
 骨粗しょう症を防ぐために日常生活で気をつけたいことは、運動習慣をつけることです。毎日、ウオーキングやジョギングをしましょう。食事の面では、カルシウムのみならず、ビタミンやミネラルもバランスよく取るよう心がけます。特に、骨を作るために重要な栄養素であるビタミンKやビタミンD、タンパク質を意識的にとるようにしましょう。反対にカルシウムの吸収を妨げる食べ物、例えばリン、食塩、アルコール、カフェインは控えましょう。体内でカルシウムの吸収を助ける働きのあるビタミンDができるのを促すため、毎日30分から1時間程度は日光浴をしましょう。
 骨粗しょう症と診断された時には薬物治療が行われます。古くなった骨を壊す働きを抑える骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤など)が主に使われています。この薬は、朝起きてすぐにコップ1杯の水で飲んでください。服用後30分間は、食事摂取による効果減弱を防ぐため、水以外の飲食は控えてください。また、薬が食道の途中に止まり、食道を荒らしてしまうことがあるので、横にならないでください。60分間注意が必要な薬もあります。
 現在は、服薬間隔が1週間や1カ月と長いものが増えてきています。骨粗しょう症は生活習慣病の一つであり、完治するものではなく、生涯にわたって向き合う必要があります。服用を自己判断で中断しないようにしてください。薬の効果や服用方法に不明な点があれば、かかりつけ薬剤師に相談しましょう。
 (伊藤邦彦・静岡県薬剤師会常務理事、静岡県立大薬学部教授)

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