テーマ : シニア・介護・終活・相続

安眠のこつ 眠れなくても焦らないで 生活習慣の見直し有効

 眠りが浅い、睡眠時間が短くなった…。眠りにまつわる悩みを抱えるシニア世代は少なくない。不安定な天候や寒暖差で体内リズムが乱れやすい季節の変わり目。疲労回復に欠かせない安眠のこつを医師らに聞いた。
肩甲骨の筋トレ
 「シニア世代は『熟睡できなくても大丈夫』とゆったりと構えるのがこつ」と話すのは、睡眠総合ケアクリニック代々木の井上雄一理事長だ。井上さんによると、加齢に伴って必要な睡眠量は減る。運動量などにより個人差はあるが、10代は約8時間、65歳以上は6時間前後が目安という。
 不安や焦りは不眠を悪化させるため「日中元気に活動できている場合は心配し過ぎず、生活習慣に目を向けて」と呼びかける。同クリニックは安易に睡眠薬を処方せず、カウンセリングで患者の考え方や行動パターンを修正する「認知行動療法」を重視。患者の2~3割は生活習慣の見直しで症状が改善するという。
 高齢になると「やることがない」と日中だらだら過ごしたり、宵の口に寝床に入ったりしがちだ。井上さんは1日30分程度の運動時間や人と交流する機会を設け、生活にめりはりをつけるよう助言。眠くないのに寝床で過ごしたり、日の出後すぐに活動的になったりするのは、早起き傾向を強めるため禁物という。
 夜中に目が覚めてしまう場合は、15分以上眠れなければ寝床からいったん離れるようアドバイス。読書をしたり、ソファでリラックスしたりして眠気が来るのを待つよう勧める。「大事なのは、起床時間を変えないこと。夜眠れなくても、生活リズムを一定に保つ努力をしてほしい」とした。
 寝る時の姿勢も大切そうだ。首都圏を中心に展開する中高年専門の個別指導ジム「心身健康倶楽部」には「寝たのに疲れている」「起きると肩や首がこっている」と悩む中高年が多く訪れる。
 代表の枝光聖人さんによると、デスクワークや家事、加齢による筋肉の衰えから頭が前に出たり、猫背になったりしている人が目立つという。「そのままの姿勢で寝ると、首と敷布団の間に大きな隙間ができ、起きた時に首や肩に疲労感が残る」と指摘。背筋を伸ばした姿勢を保てるよう、日中や入浴後に5分程度、肩や首、背中を動かす簡単な筋力トレーニング(筋トレ)やストレッチを行うよう推奨する。
 お勧めは肩甲骨の筋トレ。座った状態で①手のひらを立てて外側に向け、両腕を真上に上げる②肩の高さまで両腕を下ろす③両手のひらで顔を隠すように両肘をくっつける④腕を左右に開いて胸を張る-の手順を5~8回反復すると効果的だ。
 「正しい姿勢こそ睡眠の質を高める。ちょっとした時間を使った筋トレやストレッチを習慣化させてほしいです」

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