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【もの知りキーワード】認知症基本法 来年に推計700万人へ 支援事業の育成急務

 2024年1月に認知症基本法が施行されました。正式な法律名を「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」といい、23年6月に成立しました。

認知症基本法が描く将来像
認知症基本法が描く将来像

 認知症の人が、尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、施策を総合的かつ計画的に推進することが法の目的とされます。
 背景には、認知症の人が25年に700万人程度まで増加するとの推計があります。これは65歳以上の高齢者約5人に1人に相当する数字で、認知症が看過できない社会問題となったことを示しています。
 この法律の理念を実現させるには、医療や介護などの制度やサービスを整備することに加え、日々の生活を支える商品なども幅広く充実させる必要があります。
 このため民間企業も対応を本格化していく必要性が出てきます。認知症関連事業の市場規模は数百億円とも数千億円とも推定されていますが、関係者のニーズに沿って本当に必要な支援ができるような事業を育てることが急務になります。
 医薬品では、エーザイなどが開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」に昨年、保険が適用され、一部の医療機関で投与が始まりました。
 関連分野は製薬だけでなく、小売りやサービスなど多岐にわたるため、大企業だけでなく中小やベンチャーにも参入の可能性が出てきます。人手不足が続く介護業界も、需要の高まりで応募が増えれば、人材確保の機会にもなりそうです。
 法律では、社会への周知へ毎年9月を「認知症月間」とし、9月21日を「認知症の日」と定めました。国や地方公共団体は、ふさわしい行事の実施を推奨しなければならないとされています。
 認知症の人やその家族が安心して暮らせる共生社会の実現には、国や自治体、大学や研究機関、企業だけでなく、国民全体の協力が不可欠でしょう。

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