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睡眠薬の使用やめたい まずは別の種類に変更を【診察室】

  65歳男性。仕事によるプレッシャーやストレスから、睡眠導入剤を30年近く飲んでいます。現在はブロチゾラムを処方してもらっていますが、できれば薬を飲まずに快適な眠りを取り戻したいと思っています。そのため何度か飲むのをやめる努力をしましたが、目まいや頭痛、食欲不振などで普通の生活が送れなくなってしまいます。何か良い方法はありますか。

  30年間服用してきた睡眠薬をやめたいとお考えなのですね。応援しなくてはいけないのですが、難しい挑戦になることをまずお伝えしておきます。運動や食事などの生活習慣を変えることや自分の強い意思だけでは、睡眠薬を卒業することはおそらくできません。不眠症や不安が強くなって、かえってつらいだけの経験をするかもしれませんが、現在の睡眠薬をやめることには賛成します。
 同じ睡眠薬を使い続けていてこれまで問題はなかったとしても、年齢とともにふらつきや転倒などの副作用が起こりやすくなります。薬によっては日中に眠気が残ったり、夜中に中途で目が覚めた時のことは覚えていない、ということが起こったりします。
 まず、現在使用中の薬から別の種類のものに変更することを提案します。現在不眠症に使える薬の種類は、30年前とは違って多種多様になっています。自分に合った処方箋を探すことが一番重要な方針ということになります。
 つまり、寝付きが良くないのか、中途で目が覚めてしまうのか、早朝覚醒してしまって熟睡できないのかなど、症状ごとに睡眠薬の種類はそれぞれ使い分けることができるのです。別の睡眠薬には抗不安作用を主な効能としているものもあります。一番最近の睡眠薬では、薬の力で自分の自然な眠りを誘導できるものもあるのです。
 最後になりますが、睡眠薬と認知症の関連は証明されてはいませんので、ゆっくりと睡眠薬を再検討されてはどうでしょう。
 (袴田康弘・静岡県立総合病院総合診療センター長)

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