テーマ : シニア・介護・終活・相続

静岡人インタビュー「この人」 家族を世話する子どもの支援団体「ヤングケアラー協会」理事 高垣内文也さん(浜松市中区)

 家族の介護や世話を日常的に担っている子どもや若者が、夢を諦めずに自分らしく生きられるよう、行政や民間団体と連携して支援策を模索している。県の委託事業で開催したオンラインや対面形式の交流会では司会を務めた。自身も元ケアラー。神戸市出身。37歳。

高垣内文也さん
高垣内文也さん

 ―自身のケアラー体験とは。
 「認知症だった祖母の世話を20歳から約10年間続けた。18歳以上はヤングケアラーではなく、若者ケアラーと呼ばれる。祖母は体が元気でも脳が次第に衰え、料理や買い物、通院がうまくできなくなり、自分が代わりに行ったり付き添ったりした」
 ―東京にあるヤングケアラー協会で働き始めたきっかけは。
 「大学卒業後、認知症に向き合う人の苦労を軽減したくて製薬会社に就職した。その後、乗り物とヘルスケアを融合する新規事業を進めていたスズキに転職し浜松で暮らし始めた。その頃ヤングケアラーという言葉を知り、自分も元ケアラーとして個人的に支援活動をする中で、協会関係者に誘われて入った」
 ―協会はどんな団体か。
 「代表理事や運営メンバーの多くは元ケアラーで、2021年11月に正式に設立したばかりの新しい団体。家族をケアしながらでも自分らしく生きられる社会をつくることを目指している。例えば、家族を介護する人が在宅で働ける仕事をつくれれば解決策の一つになり得る」
 ―県や市町との連携は。
 「行政からは『支援の仕方が分からないので相談に乗って』という依頼や、体験談を語ってほしいといった依頼が多い。交流会を開いても参加する当事者はまだ少ないのが現状。ケアラーや家族向けの進路相談、キャリア相談などを続け、当事者との接点をつくっていきたい」
 (社会部・瀬畠義孝)

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