テーマ : シニア・介護・終活・相続

ケアマネ資質向上へ評価表 5段階で判定 静岡県独自 サービス底上げ

 静岡県は介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上を図るため、業務上必要な能力を評価する新たな仕組みを構築した。自己評価と他者評価をすり合わせて5段階で判定し、自分の強みや弱みを把握しやすくしたのが特徴。本県独自の取り組みとして定着させ、介護サービスの底上げにつなげる。

キャリアラダーを実施した成果を振り返る大塚ゆかりさん(右)と沢根恵子さん(左)=浜松市南区
キャリアラダーを実施した成果を振り返る大塚ゆかりさん(右)と沢根恵子さん(左)=浜松市南区


 「県介護支援専門員キャリアラダー」と呼ばれる評価表を作成した。ラダーははしごの意味で、課題や目標を明確化してケアマネの段階的なキャリアアップを促す狙いがある。
 社会保障制度の知識、対人援助技術、地域アプローチなどケアマネに必要とされる八つの能力を5段階で評価する。自分自身と指導的立場にある人がそれぞれ評価し、対話を重ねながら「業務が一通りできる」「適切なケアマネジメントを実践できる」「事業所内の介護支援専門員への指導ができる」といったレベルを決めていく。
 医療・介護関係者や学識経験者らでつくる県介護支援専門員研修向上委員会で評価指標の検討を進め、2022年度に県内6カ所のモデル事業所で試行した。23年度は事業所への周知を図り、本格的に運用を開始する。
 モデル事業所の一つ、浜松市南区の指定居宅介護支援事業所「南風」では、ケアマネの大塚ゆかりさん(60)と主任ケアマネの沢根恵子さん(61)がキャリアラダーを活用した。
 大塚さんは「自分に何が足りていないかが明確になった。客観的に評価されることがなかったので、いい機会を与えてもらった」と振り返った。指導的立場から大塚さんの評価に当たった沢根さんは「利用者に寄り添った介護を実践していた。地域の研修に参加したり、事業所内で積極的に意見したりする機会も増えた」と成果を口にした。
 ケアマネは介護を必要とする人の心身の状態や生活状況を把握し、適切な介護サービスを受けられるようにケアプランを作成する。介護保険サービスの要とも言える存在だが、個人の力量の差は大きいとされ、県はキャリアラダー導入によってケアマネ全体の能力アップを後押しする。
 県介護保険課は「働く場所や環境にかかわらず、県内全てのケアマネに共通する指標として活用し、利用者や家族のQOL(生活の質)を向上させたい」としている。
 (政治部・森田憲吾)

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