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介護+看護 晩年穏やかに 看護師・カウンセラー浅原さん 静岡に“みとりの家”開設

 病院や介護施設で看護師として働き、身近な人の死などで喪失感を抱える人を支える「グリーフカウンセラー」としても活動してきた浅原聡子さん(54)=静岡市葵区=が、人生の最期の時間に寄り添う複合型の介護施設を同市駿河区に開設した。介護と看護のサービスを一体的に提供し、「本人はもちろん、大切な人を見送る人たちにとっても、穏やかな時間を提供していきたい」と語る。

介護と看護を一体的に提供する施設「イノチテラス」をオープンした浅原聡子さん(右)=静岡市駿河区
介護と看護を一体的に提供する施設「イノチテラス」をオープンした浅原聡子さん(右)=静岡市駿河区

 浅原さんは県立こども病院で20年間、看護師として働き、2010年に退職。グリーフカウンセラーに転身後は、家族や友人を亡くした人などの相談に応じたり、グリーフケアについて広く知ってもらう活動を展開したりしてきた。同時に介護施設で看護師のアルバイトをする中で、「高齢者が最期の時間、在宅と施設を行き来できて、安心して過ごせる“みとりの家”をつくりたい」という思いを抱くようになった。
 約5年の準備期間中に経営を学ぶなどして、今年1月に「イノチテラス」をオープン。施設は高齢者向けマンション2階全体を借り、看護小規模多機能型居宅介護、訪問看護、住宅型有料老人ホーム(13床)の三つの機能を併せ持つ。
 高齢者が在宅で過ごすために、看護師が中心となって通いや泊まり、訪問看護・介護のサービスを提供し、在宅が困難になった場合には入居もできる。「高齢者の病気やけがの状況が変化すると、施設や事業者を選び直さなくてはいけないことが少なくない。本人や家族にとって大きな負担になるため、さまざまな利用の仕方ができる施設にしたかった」と説明する。
 大切にするのは「“普通”や“当たり前”をできるだけかなえること」。例えば、食事はご飯や汁物など盛り付けたものを配膳するのではなく、家庭の食卓の雰囲気を意識しながら提供する。
 もう一つ心に留めるのは、介護や看護に携わるスタッフや自分自身のこと。「ただの“労働力”にはしたくない。働く側も、利用者と一緒に大切な時間を過ごしている」と強調する。施設を「イノチテラス」と名付けたように、「出会った人たちがお互いの命、人生を照らし合える場所に育てていきたい」と考えている。

 看護小規模多機能型居宅介護 看護と介護を一体的に提供するサービス。退院後の在宅生活への移行や、みとりの支援、家族へのレスパイト(休息)対応を行う。主治医と連携し、医療行為を含めた「通い」「泊まり」「訪問看護・介護」のサービスを24時間365日提供する。

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