テーマ : シニア・介護・終活・相続

跳ぶ楽しさを障害児に 競技と育児の経験生かしトランポリン教室

 知的障害や発達障害がある子どもたちに運動機会を提供する藤枝市の「藤っこトランポリンクラブ」が創立5年目を迎えた。運営するのは、自身も障害児を育ててきた堀由希子さん(41)=同市=。「一人一人が主役となり、伸び伸びと体を動かせる場として、長く続けていきたい」と意欲を語る。

障害がある子どもたちにトランポリンを指導する堀由希子さん(左)=2022年12月上旬、藤枝市の県武道館
障害がある子どもたちにトランポリンを指導する堀由希子さん(左)=2022年12月上旬、藤枝市の県武道館


 堀さんの実家は国際大会で活躍する選手も輩出する「静岡トランポリンクラブ」(静岡市駿河区)。自身も幼い頃から県代表として大会に出場し、クラブでは指導者も務めてきた。一方、知的障害や発達障害がある娘2人の母として、習い事で苦労した経験もある。
 長女が一般の運動クラブに入会した際、順番を待てなかったり、指示をよく理解できなかったりした。指導者から厳しく注意され、周囲の保護者から心ない言葉を受けることもあり「親子ともに孤立した」と振り返る。その経験から「障害があっても楽しく運動できて、親同士も交流し合える場が必要」と2018年に障害児のトランポリンクラブを立ち上げた。
 藤枝市の県武道館を主な練習会場とし、小学1年から高校3年までの約20人が通う。障害の程度によって2クラスに分かれ、練習に励む。言語によるコミュニケーションが難しい子どもでも、堀さんがジェスチャーを交えながら手本を見せることで新たな技を習得していく。年1回、技の達成度を測る日本体操協会の「トランポリンバッジテスト」に挑戦する子どももいる。
 知的障害と自閉症がある男子高校生(18)の母親(54)=同市=は「息子は跳べることを楽しんでいる。自分も息子の学校や進路について他の保護者と話せる良い機会」と喜ぶ。堀さんは「親子双方にとって自分を解放できる場になっていればうれしい」と笑顔を見せた。

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