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認知症新薬 保険適用 20日から販売 薬価年298万円

 厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は13日、認知症のアルツハイマー病新薬「レカネマブ」の公定価格「薬価」を、患者1人(体重50キロの場合)当たりの治療で年約298万円とすることを了承した。20日から公的医療保険の適用対象となり、開発したエーザイは同日から販売を開始すると発表した。

レカネマブの仕組み
レカネマブの仕組み

 効果に期待する人が多い一方、高額薬で市場規模はピーク時に年986億円に及ぶと見込まれ、医療保険財政を圧迫するとの懸念もある。
 レカネマブ(商品名レケンビ)はエーザイと米バイオジェンが共同開発し、病気の原因物質を除去することで進行の抑制を狙った初の認知症薬となる。対象は軽度認知症患者と、その前段階である軽度認知障害の人。エーザイは国内に約120万人と推計。実際の投与は本年度は400人で、最大年3万2千人を見込んでいる。
 臨床試験(治験)では、12~17%に副作用とみられる脳のむくみや出血が発生。厚労省は最適使用推進ガイドラインで、薬を使用する施設の要件として、MRI検査で副作用の有無を確認できることなどを求めている。同社によると、こうした医療機関は当初は限定的だが今後千施設まで拡大する予定。
 投与期間は原則1年半。2週間に1回、1時間かけて点滴で投与する必要があり、患者の通院負担が指摘されている。
 患者の自己負担は年齢や所得に応じて薬価の1~3割となる。ただ医療費が高額となった場合の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」の対象になるとみられる。70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)では、自己負担が年14万4千円となる見通し。中医協は今後、レカネマブに介護費用の削減効果が認められるかどうかなどを踏まえ、薬価の見直しを検討する。
 先に承認された米国では、標準的な価格は患者1人当たり年2万6500ドル(約390万円)とされた。
Q&A 認知症新薬 原因除去 進行抑える  製薬大手エーザイが開発した認知症新薬「レカネマブ」に、20日から公的医療保険が適用されます。
 Q 認知症とは。
 A 認知機能が低下して日常生活に支障が出てくる状態を言います。中でも最も患者数の多いアルツハイマー病は、認知症全体の6割以上を占めます。脳内に「アミロイドベータ」というタンパク質が蓄積し、神経細胞を傷つけるとみられています。
 Q どんな薬?
 A 抗体薬という種類の薬で、脳内でアミロイドベータにくっついて除去し、病気の進行を抑えます。アルツハイマー病の前段階の軽度認知障害と早期アルツハイマー病の患者に点滴で投与します。公定価格は体重50キロの患者1人当たり年約298万円です。
 Q どう新しいの。
 A 病気の原因とみられる物質に働きかけるタイプだというところです。これまでの薬は、神経の活動を調整して症状を緩和させますが、原因に直接働きかけるものではありませんでした。
 Q 課題は。
 A レカネマブの臨床試験(治験)では症状の悪化を27%抑制するとの結果でした。効果は限定的で、根治を目指す薬ではありません。使える人も限られるため、より早期の受診を促す情報提供や医療体制の整備が重要です。

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