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対ウクライナ軍事支援 主力戦車供与で独判断注目 戦線膠着打開の鍵に【大型サイド】

 ロシアの侵攻を受けるウクライナへのドイツ製主力戦車「レオパルト2」供与を巡るドイツの判断が注目されている。レオパルト2を保有する欧州諸国は多いが、第三国への提供には生産国の許可が必要。ポーランドはドイツが承認すれば供与する方針だ。ナチス・ドイツが周辺国を侵略した反省などからショルツ首相は武器供与に慎重だが、欧米の主力戦車投入は膠着した戦線打開に不可欠とされる。ドイツで20日開かれるウクライナ防衛支援の関係国会合の焦点となりそうだ。

ドイツ・ハノーバー近郊で報道公開されたレオパルト2戦車=2011年9月(AP=共同)
ドイツ・ハノーバー近郊で報道公開されたレオパルト2戦車=2011年9月(AP=共同)
ドイツ・ハノーバー近郊で報道公開されたレオパルト2戦車=2011年9月(AP=共同)
ドイツ・ハノーバー近郊で報道公開されたレオパルト2戦車=2011年9月(AP=共同)
スロバキアに初めて供与されたドイツの戦車レオパルト2=2022年12月、ブラチスラバ(ロイター=共同)
スロバキアに初めて供与されたドイツの戦車レオパルト2=2022年12月、ブラチスラバ(ロイター=共同)
欧米などのレオパルト2保有数
欧米などのレオパルト2保有数
ドイツ・ハノーバー近郊で報道公開されたレオパルト2戦車=2011年9月(AP=共同)
ドイツ・ハノーバー近郊で報道公開されたレオパルト2戦車=2011年9月(AP=共同)
スロバキアに初めて供与されたドイツの戦車レオパルト2=2022年12月、ブラチスラバ(ロイター=共同)
欧米などのレオパルト2保有数

 ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア制圧地域を奪還するため、主力戦車の提供を欧米に繰り返し要請。これに応える形で英国は14日、自軍の主力戦車「チャレンジャー2」14両を数週間以内に供与すると発表。実現すれば欧米諸国で初の主力戦車供与となる。
 ただウクライナは、戦車の中でも欧州で幅広く使用されているレオパルト2を特に熱望する。軍事メディアによると、スペイン、スウェーデン、ギリシャなどドイツの他に欧州13カ国が保有。戦局に影響を与えるには100両が必要とされる。
 ポーランドに続いて、フィンランドのサボラ国防相も16日、供与するかどうかはドイツ次第だとの見解を示すなど、ドイツへの圧力は強まった。
 ドイツのショルツ首相は侵攻当初から、武器供与への慎重姿勢が指摘されてきた。第2次大戦で他国を侵略した歴史から武器輸出を厳格に管理してきた経緯や、より攻撃力を持つ武器を提供することで戦闘をエスカレートさせるとの懸念が背景にあるとされる。
 ただ今年に入り、慎重姿勢に変化も。バイデン米大統領との5日の共同声明で、これまで拒んでいたマルダー歩兵戦闘車と地対空ミサイルシステム「パトリオット」の供与を表明した。歩兵戦闘車は戦車に似た形状だが、攻撃力は及ばない。
 ウクライナのクレバ外相はドイツメディアで「ドイツはいつも最初にノーと言っても、最終的にはイエスと言う」とやゆする一方、レオパルト2の提供に期待をかけた。
 「他国がウクライナを支援する決定をドイツが邪魔すべきではない」。ドイツのハーベック副首相は最近、ポーランドの供与承認に前向きな考えを示した。
 ドイツ自身のレオパルト2提供も取り沙汰される。ショルツ氏はこれまで、武器供与は各国と足並みをそろえると述べており、単独行動を嫌うドイツは米国が主力戦車供与を決めれば追随するとの臆測も飛び交う。(ベルリン共同=斉藤範子)

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