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【ガザ情勢】支援不足ガザ、餓死続出 「意図的作戦」非難も

 イスラエル軍の地上侵攻で壊滅的な被害を受けるパレスチナ自治区ガザ北部で、餓死者が続出している。軍の厳しい制限や攻撃により支援物資が行き届かないことが原因で、ガザ保健当局によると11日までに栄養失調などで子どもら27人が死亡した。国連特別報告者は「数カ月にわたる餓死作戦」で「意図的に飢えさせている」とイスラエルを非難。米国などは物資の空中投下を始めたが、事態改善は見通せない。

食料の配給を待つ子どもたち=5日、ガザ地区南部ラファ(ロイター=共同)
食料の配給を待つ子どもたち=5日、ガザ地区南部ラファ(ロイター=共同)
ガザ地区北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院で、栄養失調に苦しむぼうこう炎患者の6歳男児=10日(ゲッティ=共同)
ガザ地区北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院で、栄養失調に苦しむぼうこう炎患者の6歳男児=10日(ゲッティ=共同)
ガザ地区北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院で、栄養失調に苦しむぼうこう炎患者の6歳男児=10日(ゲッティ=共同)
ガザ地区北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院で、栄養失調に苦しむぼうこう炎患者の6歳男児=10日(ゲッティ=共同)
食料の配給を待つ子どもたち=5日、ガザ地区南部ラファ(ロイター=共同)
食料の配給を待つ子どもたち=5日、ガザ地区南部ラファ(ロイター=共同)
食料の配給を待つ子どもたち=5日、ガザ地区南部ラファ(ロイター=共同)
ガザ地区北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院で、栄養失調に苦しむぼうこう炎患者の6歳男児=10日(ゲッティ=共同)
ガザ地区北部ベイトラヒヤのカマルアドワン病院で、栄養失調に苦しむぼうこう炎患者の6歳男児=10日(ゲッティ=共同)
食料の配給を待つ子どもたち=5日、ガザ地区南部ラファ(ロイター=共同)

 ▽恐れた事態
 「栄養失調は深刻で、子どもが飢えている」。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は4日、スタッフが視察したガザ北部のカマルアドワン病院などについてX(旧ツイッター)に投稿。病院の一部は破壊され、燃料や食料や医薬品が不足していると指摘した。
 国連児童基金(ユニセフ)などは2月中旬、北部では2歳未満の乳幼児の15・6%が深刻な栄養失調状態で、命が脅かされていると警告していた。ユニセフ幹部は今月3日「恐れていた事態が起きている」と訴えた。
 イスラエルは昨年10月のイスラム組織ハマスとの戦闘開始直後にガザの「完全封鎖」を宣言。物資搬入をガザ南部の検問所に制限している。国連などによると、南部から北部に向かうトラックを住民が取り囲み、物資を奪うことがあり、軍によるトラックへの攻撃や輸送妨害も起きている。
 軍は物資の受け取りに集まった住民を繰り返し攻撃。2月29日には北部ガザ市でトラックに殺到した群衆に発砲し、100人以上が死亡、各国からは「虐殺だ」などと非難の声が相次いだ。
 通信アプリで取材に応じたガザ市のアブディヤさん(45)は「1日1回の食事ができれば良い方だ。体重は20キロ落ちた」。別の住民は食料が入手できず、野草を食べることもあると明かした。
 ▽最低限の義務
 人道危機の悪化に歯止めがかからない中、米軍は2日、物資の空中投下を開始。1日4万食程度を連日投下し、エジプトなども物資を投下しているが、北部には30万人が暮らしているとされ、アブディヤさんは「支援の量は全く足りない」と訴える。パラシュートの不具合で物資が住民に直撃する事故も起きた。
 米政府は物資の海上輸送を本格化させる方針だが、運用に必要な臨時埠頭建設には約2カ月かかるとみられている。北部の餓死者は今後も増え続ける恐れがある。
 世界食糧計画(WFP)幹部は「空中投下で飢餓は防げない」として、北部でも陸路の搬入ルートを開く必要があると指摘。国連特別報告者らは、人道物資の供給はイスラエルが果たすべき最低限の義務だと訴えた。(カイロ共同=勝井潤)

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