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【参院政倫審】裏金全額還流、復活の謎 野党「幕引き許さず」

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた14日の参院政治倫理審査会に出席するのは、安倍派の3人にとどまった。改選対象の参院議員に全額還流する独自ルールや、2022年に取りやめたはずの還流が復活した経緯など、安倍派を巡っては依然、多くの謎が残る。「幕引きは許さない」と息巻く野党。消化不良に終わった衆院以上の解明が果たされるのか。論点をまとめた。

記者団への取材対応に臨む橋本元五輪相=12日午後、国会
記者団への取材対応に臨む橋本元五輪相=12日午後、国会
参院政倫審の論点
参院政倫審の論点
記者団への取材対応に臨む橋本元五輪相=12日午後、国会
参院政倫審の論点

 【全額還流】
 安倍派(清和政策研究会)では、参院選の年に改選対象の議員側にパーティー券の販売ノルマ分と超過分を合わせた全額を還流させていたことが判明している。衆院政倫審では深掘りされなかったテーマだ。
 3月4日の参院予算委員会では「全額還流を調査したのか」と問う立憲民主党の石橋通宏氏に対し、岸田文雄首相は「党の調査では、参院選の際に特別な取り扱いがあったという発言は把握できていない」と人ごとのような答弁に終始した。
 鍵を握るのは、安倍派の参院側を率いた世耕弘成前参院幹事長の説明だ。1月19日の記者会見では「知らなかった」と釈明。橋本聖子元五輪相も今月12日、記者団に「選挙の年にノルマがなかったことは全く存じ上げなかった」と回答した。野党が新事実を引き出せるかどうかが焦点となる。
 【裏金復活】
 安倍派内からも真相解明を求める声が多いのが、22年7月の参院選後に還流が復活した経緯だ。同年4月に当時会長の安倍晋三元首相の意向を受け中止を決めたのに、違法行為の継続を誰が決めたのか。疑問は解消されていない。
 同年8月の安倍派幹部協議の結果について、衆院政倫審では「困っている人がいるから仕方ないというぐらいの話し合いで継続になった」(塩谷立元文部科学相)「結論は出ていない」(西村康稔前経済産業相)と食い違いが露呈した。
 協議に出席していたとされる世耕氏はこれまで「刑事裁判に影響を与える可能性がある」と言及を避けており、政倫審での発言に注目が集まる。
 【発端】
 安倍派で、パーティー券の販売ノルマ超過分を所属議員に還流する仕組みがいつから始まり、誰の指示で政治資金収支報告書に不記載としていたかも不明なままだ。衆院政倫審では、座長を務めた塩谷氏が「若手や中堅を支援する趣旨だった」としつつ、開始時期は「二十数年前からではないか」と言葉を濁した。
 世耕、橋本両氏に西田昌司氏を加えた出席者3人は、野党が求めた32人とは程遠い。立民の斎藤嘉隆参院国対委員長は、くぎを刺した。「取りあえず3人で開くが、残りの方も審査対象だ。引き続き出席を求めていく」

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