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【ウクライナ復興】無人機とAIで地雷探知 素早く特定、実用化期待

 国土の約3割が地雷などの危険にさらされているとされるウクライナで、無人機(ドローン)と人工知能(AI)を使い、上空から地雷を探知する仕組みの開発試験が始まっている。最新技術によって、従来の探知機などを使った方法に比べて素早く地雷のある場所が特定できる。誤って地雷を踏んで死傷する事故が続出する中で、早期の実用化が待望されている。

ウクライナ非常事態庁の施設で飛行する地雷探知用ドローン=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の施設で飛行する地雷探知用ドローン=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の施設で、地雷探知の試験を行うドローン=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の施設で、地雷探知の試験を行うドローン=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の試験場で、地雷探知の技術試験に参加した企業関係者=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の試験場で、地雷探知の技術試験に参加した企業関係者=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の施設で飛行する地雷探知用ドローン=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の施設で、地雷探知の試験を行うドローン=26日(共同)
ウクライナ非常事態庁の試験場で、地雷探知の技術試験に参加した企業関係者=26日(共同)

 ▽素早く正確に
 3月下旬、ウクライナ非常事態庁の試験場で、地元のIT企業2社によるドローンの技術試験が報道陣に公開された。ダミーの地雷や不発弾が敷設された空き地を隅々まで飛行し、赤外線や磁気など三つのセンサーを使って探索。撮影した画像はその場でAIが解析し、パソコン端末の地図上で物体のある位置が赤色などに変化する。
 開発は非常事態庁と国連開発計画(UNDP)などが主導し、数社が技術試験を続けている。参加したウィタリー・ロプシャンスキーさん(36)は、草むらでも探索可能で、AIの機械学習により「地雷を素早く、正確に特定できるようになる」と解説した。
 ▽犠牲相次ぐ
 ウクライナでは、ロシア軍が残した地雷や不発弾によって、日本の面積の半分近い約17万平方キロメートルに危険があると推定される。農地などに再び活用するには地雷の有無を調べる必要がある。
 ウクライナ政府は危険な土地の8割から地雷を除去し、10年以内に利用可能にする目標を掲げる。各国も支援し、日本は地雷探知機を供与するなどしてきたが、道は険しい。
 地雷などによる犠牲者も後を絶たない。非常事態庁によると、2022年2月の侵攻開始から2年間で270人以上が死亡し、600人以上が負傷した。同庁の担当者は「早く地雷のある場所を探し、人命を保護する必要がある」と話す。
 ▽精度向上
 そこで注目されたのが、侵攻後に戦場に大量に投入され「戦争の形を変えた」と言われるほど技術進歩が著しいドローンの活用。さらに、AIによる解析を組み合わせることで、「地雷除去の分野でウクライナが世界をリードすることを目指す」(政府高官)という。
 UNDPのナタリア・シェペリさん(35)は地雷原が特定できれば「周辺を立ち入り禁止にした上で、その他の場所で復興に取りかかれる」と強調。AI解析の精度を高めるためには、季節や天候など異なった条件下でのデータ収集が必要で、今後も試験を続けていくとした。(キーウ共同=田中大祐)

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