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チャオ オカリナ! 情熱的でノリノリの演奏【ワーオ!】

 のんびりしていて牧歌的。そんなオカリナのイメージを一変させる音楽に出合った。オカリナ発祥の地とされるイタリアのブドリオから届いたアルバム「チャオ オカリナ!」。地元出身の奏者ファビオ・ガッリアーニが「オカリナの新しい音楽を聴かせたい」とこだわり抜いた一枚だ。

 名曲「ダニー・ボーイ」を情緒たっぷり聴かせたかと思えば、イタリアやスペイン、ウクライナの伝統的なアップテンポのダンス音楽を情熱的かつノリノリで奏でる。「シシリアのワルツ」では、6種類のオカリナを用いた多重録音による音の深みに驚かされた。
 ブックレットの解説によると、オカリナの起源は、イタリアに古くから伝わる、土を焼いて作る動物形の笛のおもちゃにあるという。1853年、ブドリオの若者がガチョウ形の笛に穴を増やせば、メロディーが奏でられると発見した。
 日本に伝わったのは20世紀初頭。彫刻と音楽の研究家、明田川孝が欧州のオカリナより穴が数個多い12穴式を確立し、特に日本では親しみやすい存在となった。一方、子どもが童謡を吹く楽器とのイメージも根強い。
 「日本でのそんな固定観念を吹き飛ばしたい」とファビオ。オカリナを発明した若者がつくった歴史ある合奏団で活躍し、来日公演も重ねてきた。オカリナの魅力である「混じり気のない音と歌うような感情的な音」を引き立てる新たなハーモニーを求めて、2022年にギターとアコーディオン、ボーカルを加えたカルテットを結成した。オカリナは他の楽器と演奏する作品が少ないため、異例の試みだ。
 ファビオは「もう一つの魅力は、初心者でも鳴らしやすいこと」と語る。皆さんも心弾むアルバムを満喫し、オカリナを手に取ってみてはいかがでしょうか。(大倉たから・共同通信記者)

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