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【大リーグソウル開幕】日本、アジア市場の中心 MLB頭打ち、海外へ活路

 韓国で初の公式戦開催にこぎつけた米大リーグ機構(MLB)は北米での野球人気が頭打ちの中、海外に活路を見いだしている。ドジャースの大谷翔平やパドレスのダルビッシュ有が20日、ソウルでの開幕戦で注目を集め、日本がアジア市場の中心であることがあらためて印象付けられた。

米大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕戦で、試合前に行われたセレモニー=20日、ソウル(共同)
米大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕戦で、試合前に行われたセレモニー=20日、ソウル(共同)
大リーグ観客数の推移と主な出来事
大リーグ観客数の推移と主な出来事
米大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕戦で、試合前に行われたセレモニー=20日、ソウル(共同)
大リーグ観客数の推移と主な出来事

 ▽スター
 一回、初めて対決した大谷とダルビッシュがひときわ大きな歓声を浴びた。実績、知名度ともにメジャー屈指の2人が主役を張った。MLBのマンフレッド・コミッショナーが「大谷のドジャース初戦となることで効果は絶大なものになる」と言った通り、妻真美子さんと降り立った15日の韓国到着時から、日本のスターに最も多くの視線が注がれた。
 昨年日本が優勝したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や今回の盛り上がりの一方で、MLBの観客数は2007年の約7948万人をピークに減少傾向。23年は約7074万人と6年ぶりに7千万人台に回復したが、ファンの高齢化など課題は多い。
 WBCではアジアや中南米の野球熱が高いことが証明され、海外市場はまだ拡大の余地を残している。19年の東京開催にも参加したドジャースの投手、トライネンは「日本、韓国、米国の3カ国は野球界で最も重要な市場だ」と強調した。
 ▽大貢献
 大リーグでは苦難の時期にアジア選手が人気回復に大きく貢献してきた。1994年に韓国人投手の朴賛浩が、95年に野茂英雄がドジャースでデビュー。朴は「コリアン・エクスプレス」、野茂は「トルネード」の異名を取り、94~95年のストライキで離れたファンを呼び戻す役割を果たした。
 禁止薬物問題で揺れた2000年代はマリナーズのイチローが走攻守で、野球の原点に立ち返るプレーを見せた。新型コロナウイルス禍に見舞われたここ数年は投打「二刀流」の大谷が新風を吹き込み、ロサンゼルス・タイムズ紙のヘルナンデス記者は「大谷は全米で知られている数少ない選手」と指摘した。
 25年は東京での開幕シリーズ開催が有力視され、大谷凱旋試合への期待が高まる。山本由伸がドジャースへ加入し、来季以降もロッテの佐々木朗希らの米国挑戦が取りざたされ、日本選手の存在感は高まる一方。ヘルナンデス記者は「MLBのスカウトは日本のプロの若手だけじゃなく、高校生の選手まで全て知っている」と打ち明けた。(ソウル、ロサンゼルス共同=白石明之、益吉数正)

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