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山口市「行くべき」と米紙 世界の旅先52カ所に選出 地元喜び、観光客誘致へ

 米有力紙ニューヨーク・タイムズが1月、「2024年に行くべき52カ所」に日本の山口市を選出した。地元から「世界がようやく魅力に気付いた」(村岡嗣政山口県知事)と喜びの声が上がる一方、これまで観光地としてあまり注目されてこなかっただけに驚きも。この好機を逃すまいと、県や市などが、外国人観光客誘致に向けた取り組みを本格化させている。

山口市で市消防本部が実施した、外国人観光客の負傷などを想定した訓練=2月
山口市で市消防本部が実施した、外国人観光客の負傷などを想定した訓練=2月
山口市で市消防本部が実施した、外国人観光客の負傷などを想定した訓練。右はヘマ・ガルベス・ルイスさん=2月
山口市で市消防本部が実施した、外国人観光客の負傷などを想定した訓練。右はヘマ・ガルベス・ルイスさん=2月
山口市消防本部が実施した、外国人観光客に対応するための訓練で話し合う関係者=2月、山口市
山口市消防本部が実施した、外国人観光客に対応するための訓練で話し合う関係者=2月、山口市
陶芸工房「水ノ上窯」を営む舛井岳二さん=2月、山口市
陶芸工房「水ノ上窯」を営む舛井岳二さん=2月、山口市
改修中の「瑠璃光寺五重塔」=2月、山口市
改修中の「瑠璃光寺五重塔」=2月、山口市
山口市で市消防本部が実施した、外国人観光客の負傷などを想定した訓練=2月
山口市で市消防本部が実施した、外国人観光客の負傷などを想定した訓練。右はヘマ・ガルベス・ルイスさん=2月
山口市消防本部が実施した、外国人観光客に対応するための訓練で話し合う関係者=2月、山口市
陶芸工房「水ノ上窯」を営む舛井岳二さん=2月、山口市
改修中の「瑠璃光寺五重塔」=2月、山口市

 「なんで山口市が…」。同紙で取り上げられた陶芸工房「水ノ上窯」を営む舛井岳二さん(44)は、ニュースを見て首をかしげた。山口県は、民間シンクタンク「ブランド総合研究所」(東京)が発表した23年の都道府県魅力度ランキングで42位。舛井さんも「山口市には観光資源が少なく、何もないと思っていた」と明かす。
 ニューヨーク・タイムズは毎年1月に「52カ所」を発表している。23年は盛岡市が、24年は北米、パリに続く3番目に山口市が選ばれた。同紙は「有名都市のオーバーツーリズム(観光公害)を懸念し、代替地として提案した」と説明した。
 23年に選出された盛岡市によると、22年の外国人宿泊客は約6800人だったが、報道後の23年は約9倍の約6万人(速報値)に増えた。新型コロナ禍の入国制限が緩和された影響もあるとみられるが、欧米からの観光客が増えており、市の担当者は「報道の影響があったと思う」と話す。今後も海外での広告活動を続けていく予定だ。
 山口市の住民らも動き出した。同紙で紹介された湯田温泉では1月下旬、温泉に残る伝説にちなんだ白いキツネを表現したプリンをお披露目。企画した「山口フェス実行委員会」の森重久美子代表は「たくさんの国の人に、おいしいと言ってもらえれば」と笑顔を見せた。
 市の名所で改修中の国宝「瑠璃光寺五重塔」は26年まで見学できない予定だったが、県は塔を覆う外壁シートの一部を透明にして、4月から内部が見られるようにすることを決めた。
 外国人観光客の増加を見越し、市消防本部は2月13日、旅行中の外国人が負傷したとの想定で訓練を実施した。隊員にレクチャーしたスペイン出身の国際交流員ヘマ・ガルベス・ルイスさん(32)は「相手を安心させる声がけの仕方をアドバイスできた」と話した。
 外国人との共生を図るため、山口県は昨年から外国人らとの意見交換会を企画。出席者からは、交通案内の多言語対応を求める声などが寄せられたという。県の担当者は「住まいとしても外国人が過ごしやすいよう、まちづくりに生かしていきたい」と話した。

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