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【大谷選手元通訳違法賭博】賭け屋スポーツ界を標的 信用取引で借金漬けに

 米大リーグのスター、大谷翔平選手を巻き込んだスキャンダルに発展した元通訳の水原一平氏による違法賭博問題。沈黙を守っていた大谷選手が25日、口を開いた。問題の背景には、大金が動くスポーツ界を違法ブックメーカー(賭け屋)が標的にする構図が浮かぶ。米メディアによると、大谷選手の口座からの送金先となった胴元は、3年前の同様の事件で捜査の延長線上に浮上。持ち金以上を「信用取引」で賭けさせる手口で、水原氏を借金漬けにした。

米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(右)の通訳をする水原一平氏=2月、ロサンゼルス(ゲッティ=共同)
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(右)の通訳をする水原一平氏=2月、ロサンゼルス(ゲッティ=共同)
声明を発表する米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(右)の映像=25日、ロサンゼルスのドジャースタジアム(共同)
声明を発表する米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(右)の映像=25日、ロサンゼルスのドジャースタジアム(共同)
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が声明を発表する会場に集まった報道陣=25日、ロサンゼルス(共同)
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が声明を発表する会場に集まった報道陣=25日、ロサンゼルス(共同)
違法スポーツ賭博と捜査の焦点
違法スポーツ賭博と捜査の焦点
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(右)の通訳をする水原一平氏=2月、ロサンゼルス(ゲッティ=共同)
声明を発表する米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(右)の映像=25日、ロサンゼルスのドジャースタジアム(共同)
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が声明を発表する会場に集まった報道陣=25日、ロサンゼルス(共同)
違法スポーツ賭博と捜査の焦点

 ▽疑問
 大谷選手は「送金してくれと頼んだことも、許可したこともないです」と、関与を全面否定。自身の口座から少なくとも6億8千万円に上るとされる金を盗まれた被害者の立場を強調した。しかし、質疑応答はなく、水原氏がどのように送金したか、なぜ当初大谷選手と一緒に送金したとうそをついたか、などの疑問は解消されなかった。
 スポーツ専門サイト「アスレチック」のファビアン・アルダヤ記者は「次の焦点。実情が分かれば、何が起きたかより正確に分かる」。全国紙USAトゥデーは「暗い秘密が暴露されることもなく、刺激的な告白や謝罪もなかった」と物足りなさを強調した。
 水原氏は通訳にとどまらず運転手や練習相手、さらにマネジャーの役割も担い、公私で支えた。口座の管理まで委ねられていたかどうかは現時点で不明だが、米国ではこうした特殊な関係が今回の事態を招いたとの指摘もあり、大谷選手に対し「成長が必要」(ロサンゼルス・タイムズ紙)との厳しい声もある。
 ▽信用
 水原氏と違法賭博の胴元マシュー・ボーヤー氏が出会ったのは、2021年。米メディアによると、ボーヤー氏は当時エンゼルスで大谷選手とチームメートだった内野手と、球団宿舎でのポーカーに参加していた。
 大谷選手の関与についてボーヤー氏の弁護士は「連絡したこともない」と否定。その一方でワシントン・ポスト紙の取材には、借金が雪だるま式に膨れ上がった水原氏に、賭けを続けさせたのは「大谷選手の親友だったから」と説明した。野球界のスターの資金力を目当てに、極めて関係が近い元通訳をかもにした。
 複数の報道によると、今回の捜査は約20年間スポーツの違法賭博に手を染め、21年に逮捕された元野球選手のウェイン・ニックス氏の摘発に端を発した。米プロバスケットボールNBAの元スター選手、ピッペン氏や、元ドジャース選手のプイグ氏らスポーツ界の大物も顧客に含まれ、当局が捜査を進める中で水原氏につながった。胴元同士の接点も浮かんだ。
 ▽処分
 大リーグ機構(MLB)も実態解明に乗り出している。1919年にはワールドシリーズで「ブラックソックス事件」と呼ばれる八百長事件があり、人気が大きく低下した苦い記憶がある。野球賭博には厳格な姿勢で、通算4256安打の大リーグ記録を持つピート・ローズ氏が89年に永久追放処分を受けた。
 ただ米国ではスポーツ賭博の合法化にかじを切る州が増え、賭け自体への抵抗感は少ない。MLBでは野球以外のスポーツに賭ける違法賭博の処分はコミッショナーの裁量に任されており、罰金程度で済んでいる。「仮に大谷選手が水原氏の借金を肩代わりしていても、前例通りなら出場停止処分は科されないだろう」(経済誌フォーブス)との見立てが一般的だ。(ロサンゼルス共同=益吉数正)

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