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夫婦別姓求め、12人提訴 「現行法規定は違憲」

 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は個人の尊重などを定める憲法に違反し無効だとして、北海道や東京都、長野県などに住む30~60代の男女ら計12人が8日、国に対し、別姓のまま婚姻できる地位の確認や損害賠償を求め、東京、札幌の両地裁に提訴した。8日は国際女性デー。

提訴のため東京地裁に向かう原告ら=8日午前
提訴のため東京地裁に向かう原告ら=8日午前
東京地裁に提訴後、記者会見する上田めぐみさん(右端)ら=8日午前、東京都千代田区
東京地裁に提訴後、記者会見する上田めぐみさん(右端)ら=8日午前、東京都千代田区
提訴のため東京地裁に向かう原告ら=8日午前
東京地裁に提訴後、記者会見する上田めぐみさん(右端)ら=8日午前、東京都千代田区

 原告は東京地裁10人、札幌地裁2人。うちカップル5組は改姓への違和感などから事実婚を選び、法律婚をした1組も「改姓の喪失感が強かった」としている。
 最高裁大法廷は2015年と21年、現行法の規定を「合憲」と判断。15年の判決では、改姓した女性にアイデンティティー喪失などの不利益があるものの「(旧姓の)通称使用が広まれば不利益が緩和されうる」と指摘した。ただ、15人の裁判官中5人は違憲とし、うち3人の女性裁判官は、通称使用の広がりは「改姓すれば支障が生じること」の証左だとして別姓を認めないのは不合理だとした。21年の家事審判の決定でも4人が「違憲」だった。
 訴状では、現行法はいずれかの姓を変えるか、婚姻自体を諦めるかの「過酷な二者択一」を迫っていると強調。選択的夫婦別姓制度導入を求める意見書を採択した地方議会の増加を挙げ「家族の在り方や国民の意識の多様化」が進み、別姓を認めないことに合理性はないと訴えている。
 原告の1人で、東京地裁前で取材に応じた東京都の上田めぐみさん(46)は、国際女性デーのシンボルとなっているミモザの花のブローチを着け「氏名は自分そのもの。みんなが幸せに結婚するには選択的夫婦別姓が必要だ」と話した。弁護団の寺原真希子団長は「国会には法改正の動きがない。政治問題ではなく人権問題だ」と訴えた。
 札幌地裁に提訴した西清孝さん(32)は「結婚する全ての人が当事者。男性にも、自分の姓を変えなくてはならないかもしれないという意識を持ち、訴訟を見てほしい」と述べた。
 法制審議会(法相の諮問機関)は1996年、選択的別姓を導入する民法改正要綱を答申したが、保守系議員の反対などで国会提出されなかった。

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