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【オスプレイ飛行再開】「丁寧な説明」ほど遠く 詳細非公表、批判強まる

 防衛省と在日米軍は早ければ14日にも、日本国内に配備する輸送機オスプレイの飛行再開に踏み切る見通しだ。鹿児島県・屋久島沖での墜落事故を受けた米軍機の飛行停止措置の解除は8日に発表されたばかりで、日米両政府は原因の詳細を非公表としたまま。「地元の不安や懸念を払拭するため、丁寧な説明をする」(木原稔防衛相)との言葉とはほど遠く、関係自治体では「安全性が担保されていない」との批判が一層強まっている。

記者団の取材に応じる沖縄県の玉城デニー知事=13日午後、県庁
記者団の取材に応じる沖縄県の玉城デニー知事=13日午後、県庁
米軍普天間飛行場に駐機する米海兵隊MV22オスプレイ=8日、沖縄県宜野湾市
米軍普天間飛行場に駐機する米海兵隊MV22オスプレイ=8日、沖縄県宜野湾市
9日、米軍オスプレイの飛行再開決定を踏まえ、記者団の取材に応じる木原防衛相=防衛省
9日、米軍オスプレイの飛行再開決定を踏まえ、記者団の取材に応じる木原防衛相=防衛省
日本国内のオスプレイ配備の現状
日本国内のオスプレイ配備の現状
記者団の取材に応じる沖縄県の玉城デニー知事=13日午後、県庁
米軍普天間飛行場に駐機する米海兵隊MV22オスプレイ=8日、沖縄県宜野湾市
9日、米軍オスプレイの飛行再開決定を踏まえ、記者団の取材に応じる木原防衛相=防衛省
日本国内のオスプレイ配備の現状

 ▽欠陥機
 「飛行再開は到底納得できない。欠陥機とやゆされるオスプレイの配備は即時撤回すべきだ」。沖縄県の玉城デニー知事は13日、記者団に怒りをあらわにした。日本政府にも「国民に丁寧な説明を行いたいと米側に申し入れるべきだ」と注文を付けた。
 その5日前、日米両政府は事故原因を「特定の部品の不具合」とのみ説明。オスプレイの設計や構造に問題はなく、予防的点検と維持整備の頻度の増加などによる安全対策を講じれば、安全に運用できるとした。木原氏は「防衛省・自衛隊の専門的見地から合理的だ」と強調したが、部品の名称や原因の詳細は「米側の調査が続いている」として、今もなお明らかになっていない。
 防衛省は沖縄県などに停止措置の解除を順次伝えたが、ここでもほぼ同様の説明に終始し、自治体からは「納得できない」と不満が渦巻いていた。
 ▽地元無視
 市街地に囲まれた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)。2012年10月に海兵隊仕様のMV22オスプレイの配備が始まり、現在24機が運用されている。オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、多くの県民が当初から配備反対を訴えていた。16年12月には名護市沿岸部に普天間所属機が不時着し、大破。市民の日常生活が危険と隣り合わせであることを改めて突きつけた。
 宜野湾市に隣接する浦添市で暮らす女性会社員(30)は「昼夜を問わず飛行し、家にいても振動や音が聞こえてくる」と語る。地元無視の対応に「安全が担保されていないのに、なぜ飛行を再開する前提で話が進んでいるのか。沖縄県民はオスプレイに『NO』を訴えてきたはずだ」と憤る。
 沖縄県幹部は「近く飛行再開はあると想定していたが、こんなに早いとは驚いた。防衛省も本当に納得して米側の説明を受け入れているのか」と語気を強めた。

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