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熊本・猫島、QOL向上へ 人との共生模索続く 年内サミット開催も

 約250匹の猫が暮らし「猫島」として知られる熊本県上天草市の離島・湯島が、猫のQOL(生活の質)向上を目指し模索している。普段接する機会が多い住民と、猫を目当てに訪れる観光客との3者共生―。何げない日常を守るため身近な取り組みを共有しようと、全国にある猫島の関係者を集めたサミットを年内に開く計画が持ち上がっている。

湯島で猫の世話をする地域おこし協力隊の林愛子さん=2月、熊本県上天草市
湯島で猫の世話をする地域おこし協力隊の林愛子さん=2月、熊本県上天草市
観光客になつく、湯島の猫=2月、熊本県上天草市
観光客になつく、湯島の猫=2月、熊本県上天草市
熊本県上天草市の離島・湯島の街並み。約250匹の猫が暮らしている=2月
熊本県上天草市の離島・湯島の街並み。約250匹の猫が暮らしている=2月
湯島の売店でくつろぐ猫=2月、熊本県上天草市
湯島の売店でくつろぐ猫=2月、熊本県上天草市
「猫島」として知られる熊本県上天草市の離島・湯島。港では、観光客を迎えるかのように猫たちが集まっていた=2月
「猫島」として知られる熊本県上天草市の離島・湯島。港では、観光客を迎えるかのように猫たちが集まっていた=2月
熊本県上天草市の離島・湯島で暮らす猫=2月
熊本県上天草市の離島・湯島で暮らす猫=2月
熊本県上天草市の離島・湯島で暮らす猫=2月
熊本県上天草市の離島・湯島で暮らす猫=2月
湯島の海沿いを歩く猫=2月、熊本県上天草市
湯島の海沿いを歩く猫=2月、熊本県上天草市
湯島で猫の世話をする地域おこし協力隊の林愛子さん=2月、熊本県上天草市
観光客になつく、湯島の猫=2月、熊本県上天草市
熊本県上天草市の離島・湯島の街並み。約250匹の猫が暮らしている=2月
湯島の売店でくつろぐ猫=2月、熊本県上天草市
「猫島」として知られる熊本県上天草市の離島・湯島。港では、観光客を迎えるかのように猫たちが集まっていた=2月
熊本県上天草市の離島・湯島で暮らす猫=2月
熊本県上天草市の離島・湯島で暮らす猫=2月
湯島の海沿いを歩く猫=2月、熊本県上天草市

 「あの子、またけがしてたよ」「危なっかしいからね」。湯島の地域おこし協力隊の林愛子さん(46)は2月中旬、観光客が行き交う港近くで島民と言葉を交わしていた。いつも話題の中心は猫。売店店員渡辺真美さん(52)も「厄介な家族みたいなもの」と笑顔だ。
 島の猫は「つみれ」「チョビ」「カルビ」などとそれぞれ名前を持つ。林さんは「島民に優しくされているから観光客にもなつく」と語る。猫に魅了されて1、2カ月ごとに新幹線を乗り継いで島に通う神戸市のトラック運転手土居一彦さん(51)は「活気があって猫もきれい。住めるなら住みたい」と話す。
 湯島は、長崎県の島原半島と上天草市のほぼ中間に位置する有明海に浮かぶ周囲約4キロの島。昔から漁業が盛んで、港で漁網を食い破るネズミを捕る猫が重宝された。住民は約250人で、10年前から約3割減少した。8人が通う小中学校はあるが高校はない。
 全国的な猫島ブームに乗り、15年ほど前から観光客が増え始めた。一方で、けがをしていても治療されていなかったり、鼻水を流し続けていたりといった猫の健康状態の悪化が目立った。「人が命に責任を持たないといけない」。島を訪れた林さんは動物好きも高じ、2019年10月に埼玉県から移り住み、猫を世話して見守る日々だ。
 林さんは「人がいなくなって、猫だけ残されたら悲惨だ」と将来を危惧。過剰繁殖を防ごうと、この4年半で170匹以上に不妊・去勢手術を施した。費用はグッズ販売の収益や寄付で賄う。
 大学生も環境向上に向け取り組む。東海大熊本キャンパス(熊本市)の有志は23年1月、“猫ファースト”をうたったサイトを立ち上げた。「いやがったら抱っこしない」「健康と安全を心がける」と明文化。猫の居場所やその性格を伝える地図も掲載する。
 学生の活動を支援する東海大の前田芳男教授は湯島で「猫島サミット」の開催を計画している。山口・祝島と大分・深島に参加を呼びかけたほか、宮城・田代島や愛媛・青島、福岡・相島などからの出席も想定する。全国の猫島がそれぞれの知見を持ち寄った連携が始まろうとしている。

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