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【東京五輪組織委元理事の高橋治之被告】スポンサー権限、公判焦点 無罪主張も厳しい立場

 東京五輪汚職事件で受託収賄罪に問われた大会組織委員会元理事の高橋治之被告の公判は、マーケティング担当理事として大会スポンサーの選定に関する職務権限があったのかどうかが最大の争点だ。高橋被告は共同通信のインタビューで、組織委会長だった森喜朗元首相らに権限があったとして無罪を訴える。だが贈賄側の公判では、検察の主張通りの有罪判決が続いており、厳しい立場にある。

東京五輪・パラリンピック組織委におけるマーケティングの権限を巡る検察・被告の主張
東京五輪・パラリンピック組織委におけるマーケティングの権限を巡る検察・被告の主張

 ▽蚊帳の外
 「どこの企業が(スポンサーに)決まったのかも知らないし、一切口は出せなかった」
 高橋被告はマーケティングについては、武藤敏郎事務総長(当時)から報告を受けた森氏が進め、自らは蚊帳の外に置かれたと強調する。
 マーケティングを取り仕切る専門部署構想を提案しても武藤氏に無視され、実現しなかったとしている。理事がみなし公務員であることは、通知の書面数枚を見て認識していたものの「みなし公務員が何かよく分からなかった。理事会でも説明はなかった」と釈明した。
 ▽便利
 一方、検察側は森氏の供述などを基に、森氏から担当理事としてスポンサー集めを任された高橋被告が、組織委に働きかけていたと主張している。
 関係者によると、森氏は高橋被告を担当理事に選任した理由について、東京地検特捜部から参考人として聴取を受けた際に「スポーツ関係者から情報収集して、資金集めにたけていることが分かった。組織委としてマーケティングをする上で、高橋さんが便利だろうと考えた」と供述した。
 ただ、高橋被告は「森さんの供述は間違いだ」とし、森氏から担当理事を任されたこと自体を否定している。
 ▽いずれも有罪確定
 高橋被告は紳士服大手AOKIホールディングス(HD)、出版大手KADOKAWAなど5ルートからスポンサーの選定などの請託を受け、計約1億9800万円を受領した罪に問われている。
 「森氏は高橋被告にマーケティングを任せ、高橋被告は職務に強い権限を持っていた」。昨年4月のAOKIHD前会長ら3人の判決で、東京地裁は高橋被告の職務権限を認め、企業側の提供資金を賄賂と結論付けた。
 事件の被告15人のうち、贈賄側10人と収賄側1人の判決では同様の内容が認定され、いずれも有罪が確定している。
 高橋被告も不利な状況は認識しているとしながら、上級審を見据え「一審は無理でも最終的には絶対に無罪になる」と語る。

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