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SF大作「デューン」続編 続編観客のみ込む壮大な叙事詩【ワーオ!】

 宇宙の命運を懸けた壮大な叙事詩が、劇場に帰ってきた。2022年に米アカデミー賞6部門を制したSF大作の続編「デューン 砂の惑星PART2」。神話的な物語は複雑に発展し、見たことのない迫力の映像が観客をのみ込む。配信を待たず、映画館の大スクリーンで見るべき作品だ。

(c)2024 Legendary and Warner Bros.Ent.All Rights Reserved
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 舞台は「スパイス」と呼ばれる貴重な物質が産出される惑星デューン。皇帝からこの星の統治を任されながら、陰謀により一族を皆殺しにされたアトレイデス家の後継者ポールは、復讐(ふくしゅう)心に燃えて砂漠の民「フレメン」と行動を共にし、反撃ののろしを上げる。そこに、運命の女性とのロマンスも絡まり合う。
 葛藤しながら非情な道を歩むポール役のティモシー・シャラメもいいが、敵対するハルコンネン家の次期当主を演じるオースティン・バトラーもいい。残忍なライバル役だが、ぞくっとする格好良さがある。ハルコンネン家の惑星は白黒の世界で、みんな髪と眉毛はなく、建物や衣装もどことなくグロテスク。敵役としての存在感を高めるメークや美術が素晴らしい。
 そして、なんといっても砂の惑星。巨大ミミズのような「サンドワーム」の、いっそ爽快ささえ感じられる恐ろしさは前作のまま。砂漠の民はその背に乗って移動するのだから驚きだ。クライマックスに思わぬ形で登場し、胸が躍る。
 若き英雄が故郷を離れて試練を乗り越える物語は、古典的ではあるがそれ故の強さを持っている。生殖や予言といった神秘的な力を女性に象徴させたり、先住民のフレメンをエキゾチックに描いたりするのは、現代的な感覚からは違和感があるが、それが神話的な壮大さと結び付いているのも否定できない。まずはドゥニ・ビルヌーブ監督の創出した砂の惑星に没入し、それから議論を交わしてほしい。(鈴木沙巴良・共同通信記者)

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