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【国会論戦】公明、自民と道連れ懸念 戦闘機輸出、裏金で距離

 公明党が岸田文雄首相や自民党に厳しい姿勢を示す場面が目立つ。国会論戦を通じ、次期戦闘機の第三国輸出を巡り「紛争を助長しかねない」と懸念をぶつけるとともに、首相に対し、国民に理解を得られるような答弁を要求。派閥の政治資金パーティー裏金事件では自民の統治不全を問題視する。内閣支持率が危険水域にある中、「道連れはごめんだ」(幹部)と言わんばかりに一定の距離を取る。

記者会見する公明党の山口代表=5日午前、国会
記者会見する公明党の山口代表=5日午前、国会
政権が直面する課題と発言
政権が直面する課題と発言
記者会見する公明党の山口代表=5日午前、国会
政権が直面する課題と発言

 ▽原点回帰
 「日本を取り巻く安全保障環境をかえって損なう恐れがあるのではないか」。5日、参院第1委員会室。公明の西田実仁選対委員長は英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の輸出を巡り指摘した。「輸出による価格低減努力を含め、十分な貢献が必要だ」と理解を求める首相。西田氏は「疑問が残る」と返した。
 首相は当初、2月末に結論を出すよう与党に求めた。しかし山口那津男代表や北側一雄副代表らは「重大な政策変更なのに政府の説明がない」と反発。決着を先送りし、国会審議で首相から歯止めとなる答弁を引き出す戦略へかじを切った。5日はその「第1弾」(公明筋)というわけだ。
 公明は創設者の池田大作創価学会名誉会長の死去後、原点である「平和の党」への回帰を目指す傾向にある。山口氏は5日の記者会見で、戦闘機輸出に関し「国民の理解を得られるかどうか注視していく」と述べた。与党として着地点を見いだすにしても、世論の動向を指標としたい―。そんな思惑が透ける。
 ▽相次ぐ苦言
 裏金事件にも公明はぴりぴりしている。衆院政治倫理審査会を巡り、自民の茂木敏充幹事長が安倍派幹部らの出席調整に奔走せず、膠着打開へ首相が出席せざるを得なかった状況に批判的だ。
 山口氏は2日、福島県浪江町で記者団を前に、名指しは避けながら「自民党のしかるべき方々が汗をかく取り組みがほしかった」と苦言。北側氏も会見で同様の認識を示した。首相は「ガバナンス(組織統治)に問題はない」と強がるが、機能不全は隠しようがない。
 さらに政倫審で「知らぬ存ぜぬ」を繰り返した安倍派幹部にも手厳しい。山口氏は会見で「やりとりの中で少し食い違いがあり、不透明な部分がある。説明責任が尽くされていない」と訴えた。
 ▽同じ穴のむじな
 公明幹部が、自民に憂慮を表明するのは今に始まったことではない。「同じ穴のむじなに見られたくない」。裏金事件を巡り昨年12月、動画投稿アプリTikTok(ティックトック)の配信動画で、山口氏が言い放ったのは記憶に新しい。
 与野党では衆院解散の時期について「4月の衆院3補欠選挙に首相は合わせてくる」「6月の国会会期末だ」などと取り沙汰される。だが内閣支持率は20%台が続き、政権浮揚は見込めない。
 山口氏は会見で、政治不信と支持率低迷を絡め首相をけん制した。「政治の信頼を回復する流れをつくり出さない限り、解散するべきではない」

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