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【世論調査】首相、訪米で反転「不発」 裏金影響、6回連続20%台

 岸田内閣の支持率が6回連続で20%台にとどまった。国賓待遇の米国訪問を超低空飛行からの脱却のチャンスと捉え、反転攻勢を図ったが、逆に厳しい現実を突き付けられ、狙いは不発に終わった格好だ。裏金事件の影響下でもがき続ける岸田文雄首相。野党は国会論戦や衆院3補欠選挙を通じ、徹底的に対峙する。

首相官邸に入る岸田首相=15日午前
首相官邸に入る岸田首相=15日午前
岸田首相が直面する厳しい現実
岸田首相が直面する厳しい現実
首相官邸に入る岸田首相=15日午前
岸田首相が直面する厳しい現実

 ▽「話にならない」
 「首相の外交姿勢が一定の評価を得ている」。15日、自民党本部。茂木敏充幹事長は共同通信世論調査を巡り、内閣支持率23・8%(前回20・1%)の受け止めを聞かれると、好意的に答えた。連立を組む公明党の山口那津男代表も「訪米がプラスに影響した」と取材に語った。
 だが首相はバイデン米大統領と会談した成果を掲げ、政権浮揚につなげたかったはずだ。自民重鎮は「まだ20%台に沈む現状を直視しなければならない」と苦言。森山裕総務会長は「政治資金問題に対する国民の不信が払拭されていない。今後どう対応するか訴え、信頼を取り戻さないと話にならない」と危機感をあらわにした。
 ▽「選挙の顔交代」
 実際、世論調査を見ると裏金事件には依然厳しい視線が注がれている。
 裏金事件に関し「実態は十分解明されていない」と答えたのは93・3%に達し、自民支持層でも88・0%に上った。首相自身が処分されなかったことに78・4%が「納得できない」とし、自民支持層でも60・9%だった。
 ベテランはもう一つの調査結果に目を引かれた。次期衆院選で望ましい結果について「与野党伯仲」との回答が50・5%を占め、分析すると自民支持層で50・0%、公明支持層で57・8%に上った点だ。無党派層も51・6%が伯仲を望んだ。
 「緊張感の表れだ。今後はトップを交代し、誰を選挙の顔にして次の衆院選を戦おうかといった展開になる」。このベテランは予言する。
 ▽「国民の審判を」
 野党は、裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、独自案を作らない方向の自民の姿勢を問題視する。真相究明へ、衆参両院の政治改革特別委員会でただす構えだ。
 立憲民主党の長妻昭政調会長は自民のスタンスに関し、政治腐敗に真摯に向き合っていないとした上で「とんでもない。深刻な問題だ」と非難。共産党の小池晃書記局長も「国民は厳しい目で見ている。曖昧にすることは許されない」と強調する。
 国会論戦と併せて、野党は16日告示の衆院3補選でも争点にし政権に迫る。裏金事件への強い批判をてこに支持を野党に引き付け、次期衆院選に臨みたい思惑が透ける。
 日本維新の会の藤田文武幹事長は「与野党伯仲」を求める声が半数だった調査結果に触れ、訴えた。「多くの国民が政治の変革を望んでいる。首相は早期に衆院を解散し、審判を仰ぐべきだ」

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