テーマ : 読み応えあり

【米大統領選】トランプ氏、挙党態勢難航 ヘイリー氏と対立で禍根

 トランプ前米大統領は6日、共和党保守派の底堅い支持を追い風に大統領選の党候補指名争いを決着させた。11月にバイデン大統領と戦う本選に向け挙党態勢の構築を目指すが、穏健派や無党派の支持を集めたヘイリー元国連大使との対立で禍根を残し、難航は必至だ。バイデン氏は反トランプ票の受け皿となったヘイリー氏支持層の取り込みを目指す。

米大統領選からの撤退を表明したヘイリー元国連大使=6日、サウスカロライナ州(ゲッティ=共同)
米大統領選からの撤退を表明したヘイリー元国連大使=6日、サウスカロライナ州(ゲッティ=共同)
スーパーチューズデーのイベントで話すトランプ前米大統領=5日、フロリダ州パームビーチ(ロイター=共同)
スーパーチューズデーのイベントで話すトランプ前米大統領=5日、フロリダ州パームビーチ(ロイター=共同)
米大統領選候補らの発言(写真はAP、ゲッティ)
米大統領選候補らの発言(写真はAP、ゲッティ)
米大統領選からの撤退を表明したヘイリー元国連大使=6日、サウスカロライナ州(ゲッティ=共同)
スーパーチューズデーのイベントで話すトランプ前米大統領=5日、フロリダ州パームビーチ(ロイター=共同)
米大統領選候補らの発言(写真はAP、ゲッティ)

 ▽いら立ち
 「過去の歴史を塗り替えるほどの惨敗を喫した。彼女の資金は極左の民主党から来ている」。トランプ氏は各州での予備選や党員集会が集中したスーパーチューズデー翌日の6日、勝利を自賛する声明で、ヘイリー氏をこき下ろした。
 唯一残った対抗馬で史上初めて女性として共和党指名争いで2勝したヘイリー氏の健闘をたたえる言葉はなく、食らいつき続けた同氏へのいら立ちをにじませた。
 トランプ氏が2020年前回大統領選でバイデン氏に敗北した要因の一つが、激戦州で穏健派や無党派の支持を得られなかったことだとの見方は多い。本選で勝利するためには、ヘイリー氏の支持層を味方に付けたいところだが、中傷を繰り返す過激な姿勢を修正する様子はない。
 ヘイリー氏は撤退を表明した6日の演説で「米国民は団結しなければならない。支持しなかった党内外の票を獲得できるかは彼次第だ」と述べ、対立をあおるトランプ氏の手法を暗に批判し、同氏支持に回ると明言することはなかった。
 ▽秋波
 トランプ氏の路線に反発するヘイリー氏支持者は多い。南部バージニア州でのCNNテレビの出口調査によると、ヘイリー氏に投票した人のうち91%が、トランプ氏は大統領職にふさわしくないと回答した。
 これに目を付けるのが、支持率低迷に苦しむバイデン氏陣営だ。ヘイリー氏支持者との共闘を模索。党派の違いはあるが、ロシアのウクライナ侵攻に向き合う北大西洋条約機構(NATO)など同盟を重視する姿勢や、議会襲撃事件をはじめ4件で起訴されたトランプ氏の指導者としての資質を問題視する立場は近く、親和性が高いとみる。
 バイデン氏は6日の声明で、民主主義の脅威と位置付けるトランプ氏の返り咲きを阻止するため、協力することは可能だと主張。「トランプ氏はヘイリー氏支持者を求めていないと言っている。われわれの選挙運動に加われば、居場所はある」と秋波を送った。(ワシントン共同=高木良平)

いい茶0

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞