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【北陸新幹線】大阪延伸見通し立たず 米原ルート求める声も

 16日に金沢―敦賀(福井県敦賀市)間が延伸開業する北陸新幹線は最終的には、同県小浜市、京都市などを経由し大阪まで延伸する計画だ。国土交通省は2025年度の着工を目指すが、前提となる環境影響評価(アセスメント)が遅れている上、建設業の人手不足の影響も懸念され、開業時期の見通しは立たない。進捗の遅さにいらだつ沿線自治体からは、早期整備のため東海道新幹線の米原駅(滋賀県)へのルート変更を求める声も上がる。

北陸新幹線敦賀駅のコンコースに敷かれた、在来線特急のホームへ誘導する案内表示=8日、福井県敦賀市
北陸新幹線敦賀駅のコンコースに敷かれた、在来線特急のホームへ誘導する案内表示=8日、福井県敦賀市
敦賀駅の先で途切れる北陸新幹線の高架線路。大阪まで延伸する計画の見通しは立っていない。奥は敦賀車両基地に向かう高架線路=8日、福井県敦賀市
敦賀駅の先で途切れる北陸新幹線の高架線路。大阪まで延伸する計画の見通しは立っていない。奥は敦賀車両基地に向かう高架線路=8日、福井県敦賀市
北陸新幹線敦賀駅のコンコースに表示された、在来線特急のホームへ誘導する案内=8日、福井県敦賀市
北陸新幹線敦賀駅のコンコースに表示された、在来線特急のホームへ誘導する案内=8日、福井県敦賀市
北陸新幹線のルート
北陸新幹線のルート
北陸新幹線敦賀駅のコンコースに敷かれた、在来線特急のホームへ誘導する案内表示=8日、福井県敦賀市
敦賀駅の先で途切れる北陸新幹線の高架線路。大阪まで延伸する計画の見通しは立っていない。奥は敦賀車両基地に向かう高架線路=8日、福井県敦賀市
北陸新幹線敦賀駅のコンコースに表示された、在来線特急のホームへ誘導する案内=8日、福井県敦賀市
北陸新幹線のルート

 北陸新幹線の大阪延伸は、北陸と関西の交流活性化に加え、災害時などにおける東海道新幹線の代替ルートとして期待される。
 JR西日本の長谷川一明社長は13日の記者会見で「関西につながってこそ初めて、国土軸を形成する重要なインフラとしての役割を果たす」と強調した。
 敦賀延伸後、北陸方面と関西方面に移動するためには、敦賀駅でそれぞれ新幹線や在来線に乗り換える必要があり、利用者は不便を強いられる。与党関係者は「観光振興を考えれば、一日も早い(大阪への)延伸が必要だ」と話す。
 敦賀―新大阪間は8割がトンネル区間だ。地下水を利用した日本酒や和菓子作りが盛んな京都では、掘削による地下水への影響を懸念する住民の反対運動が発生。環境アセスが遅れ、与党は目標とした23年春の着工を断念せざるを得なかった。
 与党の要求もあり政府は23年度から、本来は着工後に行う京都駅、新大阪駅の構造調査などに前倒しで着手。地下水への影響分析も進めている。
 金沢―敦賀間の開業は予定より1年遅れ、31年を予定する北海道新幹線の札幌延伸も難工事などで遅れが確実視されている。24年4月から建設業の残業規制が強化され、作業員確保のハードルも上がる。
 国交省は当初、大阪延伸の工期を15年と想定したが、幹部は「20年以上かかる可能性もある。いずれにしても、開業は40年代になるだろう」と話した。
 こうした状況にしびれを切らし、石川県ではルートの再考を主張する声も。今回の延伸で小松駅が新設される小松市は昨年12月の議会で、建設費の高騰や京都での反対を理由に、米原ルート採用を求める決議を可決した。提出者の灰田昌典市議は「小浜ルートは全然動きがない。早く通すことが重要だ」と力説する。
 「表現の自由の範囲内」(馳浩・石川県知事)、「言っているのは一部の方だ」(松崎晃治・小浜市長)と、多くの沿線自治体は平静を保つが「ずるずると遅れたのは遺憾」と事態が進まないことに対する政府、与党への不満も漏れる。
 福井県の杉本達治知事は、25年の工事着手に向け「今年が正念場だ。全線開業に向け、国に強く求めていきたい」と気を引き締めた。

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