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【能登地震の住宅被害認定】支援に差、被災者切実 外観のみ調査、不満も

 能登半島地震の被災地で、自宅の被害認定への不服申し立てが相次ぐ。結果によって公的支援の内容に差が出るため、被災者にとっては切実な問題。外観のみの1次調査に不満の声も上がる。ノウハウのある自治体職員は少なく、2次調査には時間がかかる見通しで、早期の生活再建への障壁となりかねない。

地震で倒壊した石川県珠洲市の家屋=26日午後
地震で倒壊した石川県珠洲市の家屋=26日午後
地震で倒壊した石川県輪島市の家屋=26日午後
地震で倒壊した石川県輪島市の家屋=26日午後
石川県輪島市で、罹災証明に向けた調査を行う市職員ら=1月
石川県輪島市で、罹災証明に向けた調査を行う市職員ら=1月
石川県輪島市役所の罹災証明書の申請窓口=1月
石川県輪島市役所の罹災証明書の申請窓口=1月
地震でビルや家屋が倒壊するなどの被害が出た石川県輪島市内。被災地では自宅の被害認定への不服申し立てが相次いでいる=1月(ドローンから)
地震でビルや家屋が倒壊するなどの被害が出た石川県輪島市内。被災地では自宅の被害認定への不服申し立てが相次いでいる=1月(ドローンから)
地震でビルや家屋が倒壊するなどの被害が出た石川県輪島市内。被災地では自宅の被害認定への不服申し立てが相次いでいる=1月(ドローンから)
地震でビルや家屋が倒壊するなどの被害が出た石川県輪島市内。被災地では自宅の被害認定への不服申し立てが相次いでいる=1月(ドローンから)
住宅の被害認定基準と主な支援内容
住宅の被害認定基準と主な支援内容
地震で倒壊した石川県珠洲市の家屋=26日午後
地震で倒壊した石川県輪島市の家屋=26日午後
石川県輪島市で、罹災証明に向けた調査を行う市職員ら=1月
石川県輪島市役所の罹災証明書の申請窓口=1月
地震でビルや家屋が倒壊するなどの被害が出た石川県輪島市内。被災地では自宅の被害認定への不服申し立てが相次いでいる=1月(ドローンから)
地震でビルや家屋が倒壊するなどの被害が出た石川県輪島市内。被災地では自宅の被害認定への不服申し立てが相次いでいる=1月(ドローンから)
住宅の被害認定基準と主な支援内容

 ▽先が見えず
 「外観を見ただけで損害の程度の違いが分かるのか」。石川県輪島市の自営業の男性(74)は不満を口にした。地震の揺れで、家中の壁に亀裂が入り、風呂場のタイルも崩れた。開かない扉もあり、改修をしなければ住むのは難しい。しかし、自宅は外観を目視する1次調査で損害割合が10%以上20%未満の「準半壊」と判定された。
 被害認定は損害割合に応じ「全壊」から「一部損壊」まで6段階ある。政府の生活再建支援金は全壊なら300万円だが「半壊」「準半壊」「一部損壊」は対象外。応急修理時に受けられる補助も、半壊以上は70万6千円だが、準半壊は34万3千円と大きな差がある。
 男性の自宅は、風呂場の応急修理だけで100万円以上かかる見込みのため「家の中もしっかり見て判断してほしい」と3月初めに2次調査を申し込んだ。しかし、市からは「順番になったら連絡する」と説明されたきりなしのつぶて。そのため、工事の予定を立てることも難しい。
 現在、介護が必要な妻(74)と2人で金沢市内のみなし仮設住宅に暮らす。準半壊の場合、本来の入居対象ではなく、ライフライン復旧後は1カ月で退去するルールだ。「自宅に住めない状態で追い出されるかも…。先が見えず、将来が不安だ」
 ▽職員不足
 今後の2次調査も順調とは言えない。背景にあるのが、被害認定調査に詳しい職員の全国的な不足だ。
 石川県志賀町の担当者は、週ごとに応援職員が入れ替わり、ノウハウの蓄積が難しいため「スピードを上げて調査を進めるのは難しい」と打ち明ける。
 同県七尾市に約1週間応援派遣され、認定調査に当たったある自治体の職員は「初めてで業務をこなすのが精いっぱい。完璧にできた自信はまったくない」と振り返る。「平時から、実地研修や訓練をして調査業務に慣れておく必要がある」と話した。
 内閣府は、2次調査に関する問い合わせ増加を受け、今月18日、被災自治体向けに、調査の留意点を連絡。被災者への丁寧な説明のほか、建築士会など民間団体にも協力をもらいながら、調査を迅速化するよう求めた。
 担当者は「被災者に納得してもらうには、正確かつ効率的に調査を進めることが不可欠だ。積極的に自治体に情報提供をしていきたい」と説明した。

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