テーマ : 読み応えあり

【ロシア乱射テロ】凶行20分、犠牲最大化狙う 開演直前にホール侵入

 実行犯は開演直前のコンサートホールに正面玄関から侵入、観客に向けて銃を撃ち続け、20分足らずで逃走した―。多数の市民が犠牲となったモスクワ郊外の銃乱射テロ。短時間で最大限の犠牲を狙った凶行の様子を、ロシアメディアの報道から再現した。

銃乱射テロの火災で屋根が崩落した「クロッカス・シティ・ホール」=23日、モスクワ州クラスノゴルスク(タス=共同)
銃乱射テロの火災で屋根が崩落した「クロッカス・シティ・ホール」=23日、モスクワ州クラスノゴルスク(タス=共同)
ロシア銃乱射テロの現場の状況(配置写真は(C)Google)
ロシア銃乱射テロの現場の状況(配置写真は(C)Google)
銃乱射テロの火災で屋根が崩落した「クロッカス・シティ・ホール」=23日、モスクワ州クラスノゴルスク(タス=共同)
ロシア銃乱射テロの現場の状況(配置写真は(C)Google)

 政府系テレビ「第1チャンネル」や治安情報に強いインターネットメディア「バザ」などによると、4人とみられる実行犯が乗ったルノーの白い乗用車は、モスクワ北西クラスノゴルスク市にある「クロッカス・シティ・ホール」の正面玄関前に22日午後7時55分ごろ停車。実行犯はすぐ玄関ホールに入り、近くにいた警備員や客に向けて発砲を始めた。「バン、バン」と乾いた銃撃音が響き、数人が倒れた。
 階段かエレベーターで上がる定員約6200人の大ホールは、ソ連時代から活動するロックグループ「ピクニック」の公演開始を5分後に控えてほぼ満員だった。
 実行犯がホールに入り1階席から銃撃を始めたのは8時3分ごろ。2階以上の席にいた客は「最初は何が起きているのか分からなかった」と話す。実行犯が引火性の液体をまいて火を付け、2階席に上がって上階の客らを狙い始めると、あちこちから「キャー」と悲鳴が。「撃っているぞ」「テロリストだ」との声が上がり、多くの人々が客席の裏に身を隠した。
 やがてホール内に煙が充満し始め、パニック状態に陥った観客らは争って出口に。逃げ道を失い、幕が下りたままの舞台上に逃れる人々もいた。玄関ホールに降りた客も背中から銃撃を受けた。
 ロシア紙コメルサントは犯行の様子について「落ち着いていて、軍人というより戦争ゲームの愛好者のように見えた」との目撃者の話を伝えた。
 「トイレに隠れている。煙が入ってきた。助けて」と警察に電話した人もいた。実際、あるトイレからは28人の遺体が見つかった。14遺体が発見された非常階段も。大人が子どもをかばうように折り重なっていたという。ホールは全体が炎に包まれ、数時間で屋根が焼け落ちた。
 実行犯らは8時13分ごろには建物の外に出て、正面に止めてあった車で走り去った。カルーガ州を通りウクライナ国境に向かったとされる。だがモスクワから約400キロ離れたブリャンスク州の村落で検問にかかり、車を捨てて逃げたが林の中で拘束された。
 事件については過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出しているが、ロシアの識者や下院議員らは「ウクライナの関与は明らかだ」と繰り返している。(共同)

いい茶0

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞