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テーマ : 三島市

路線バスやむなく減便 静岡県内、縮小拍車に懸念【迫る24年問題】

 静岡県内で路線バスを減便する動きが広がっている。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ乗客数が完全に戻らない中で、燃料費高騰の打撃が重なり、不採算路線を中心に合理化を図るバス事業者が多い。深刻な運転手不足で路線維持が困難に陥るケースも出始め、来年春に残業時間の上限規制が適用される2024年問題が顕在化すれば、さらなるダイヤ縮小につながるとの懸念も強まっている。

運転手不足や合理化のために減便の動きが広がる路線バス=沼津市
運転手不足や合理化のために減便の動きが広がる路線バス=沼津市

 伊豆箱根バス(三島市)は本年度、県東部を運行する三島営業所管内で3度のダイヤ改正を行った。今年3月ごろに運転手の退職が増え、新規募集をかけても思うように人員を確保できない。観光バスの運転手を充てて対応してきたが、コロナの5類移行などに伴う観光需要の回復でバス路線の維持は一段と厳しい状態に。運転手にコロナ感染者が出ると人手はさらに不足し、担当者は「過去にない緊急事態」と語る。
 現在、運転手の拘束時間を長くても1日11~12時間程度で収まるようにダイヤを組んでいるが、減便した割合は全体で1割程度。来年春の残業規制が始まれば人手不足はさらに深刻化し、ダイヤを戻すには「運転手があと2割増えないと難しい」という。基本給アップや入社祝い金などで待遇を手厚くし、教育環境も充実させながらドライバー確保に努める。
 東海バス(伊東市)も4月に一部路線で減便した。コロナ禍後に乗客数は約2割減、運転手は10人程度減った。沿線学校の統廃合などの環境変化も考慮しながらダイヤを改正し、乗務員の適正配置や別路線との調整で対応するなどして「地域の足としての大きな影響はない」としている。24年問題に向けて運転手の積極採用を実施し、法改正に合わせた運行ダイヤの設定作業を進めるという。
 遠鉄バス(浜松市)は10月から2路線を廃止した。運営会社の遠州鉄道によると、全体の乗客数はコロナ前と比べて7~8割程度。不採算路線の合理化により、人員とバスを適切に配置するのが目的という。現時点でさらなる減便の予定はないが、来春の残業規制について「影響はあり得る。状況を見ながら対応することになる」としている。
 (経済部・金野真仁)

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