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テーマ : 三島市

旧ジャニーズ性加害問題 どう受け止める? 静岡新聞社アンケート【NEXT特捜隊】

 旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長(2019年死去)による性加害問題は、社名やグループ名から「ジャニーズ」の名称が消える事態につながった。静岡新聞社のNEXT特捜隊には長年のファンという静岡県内の女性から「もう応援できない」との声も届いた。性加害問題とその影響をどう受け止めるかー。自由記述を含むウェブアンケートで聞いた。
看板撤去前の旧ジャニーズ事務所本社ビル(東京)と性加害問題の記者会見のコラージュ
 【アンケート概要】
 13~15日にウェブ上で実施し、661件の回答があった。回答者の内訳はファンが約6割。静岡県外からの回答が4割強を占めた。年齢は50代が最も多く32・5%、次いで40代27・8%、60代14・5%、30代13・2%。性別では女性が64・1%だった。

 ファン「応援続ける」
 好きな旧ジャニーズ所属、出身のタレントが「いる」と回答したのは402人。うち9割超の373人が「これまで通り応援を続ける」と答えた。先に寄せられた声のように「今後は応援しない」としたのは3人と少数だった。
 応援を続ける理由としては「タレントに罪はない」「責任はない」との回答が目立った。「ある意味彼らも被害者。会社のせいで仕事をなくしてほしくない」(浜松市東区、40代、主婦)「好きな気持ちは変わらない」(静岡県外、50代、会社員女性)との声もあった。
 一方で「応援の仕方を再考する」「迷っている」とした人からは複雑な思いが寄せられた。浜松市浜北区の60代医療関係者女性は「あまりにひどい事態だと思うから」、袋井市の60代主婦は「いろいろな犠牲の上に成り立っていた活動だと分かったため」とつづった。
 企業の対応 批判も
 企業が所属タレントのCM起用などを取りやめる動きについて、ファンの間では、応援を続けるのと同様の理由で「取りやめるべきでない」とする声が多かった。静岡県外の40代セラピスト女性は「これまでまったく知らなかった問題ではないのに、表に出た途端、タレントを切り捨てて潔癖さをアピールするのはずるい」と企業を批判した。他方で、ファンでも被害者の心情などを理由に「取りやめるのは仕方がない」と考える人もいた。
 対応を「当然」とした人はファン以外に多く、「(起用を続ければ)性加害を許す企業と見られかねないから」(富士市、40代、会社員女性)などと理由を挙げた。静岡市駿河区の40代公務員女性は「事務所は、黙認したことで加害が広がった責任を問われるべき」と厳しい目を向けた。
企業が、事務所所属のタレントのCM起用などをやめる動きについてどう思いますか?
 企業の対応の評価について「わからない」と回答した富士市の40代主婦は「事務所の責任をタレントが負うべきかという点を、どう考えたらいいのか。タレントはいわば事務所の商品だがある意味被害者でもある」と戸惑った。
 名称消滅に賛否
 ジャニーズの名称がなくなることについては意見が割れた。「なくなるのは当然」とした人では、「加害者の名前を使うべきでない」(静岡市葵区、40代、会社員女性)との意見が多数。「なくなるのは仕方ない」とした人では「聞くだけで嫌な気持ちになる人がいるなら」(静岡市葵区、50代、パート女性)などの声が目立った。
 一方で「なくさないでほしかった」とした人からは、「誇りを持ってやってきたタレントを思うとつらい」(静岡県外、50代、会社員女性)「性加害は許せないが、功績も大きかったはず」(三島市、40代、準公務員男性)「ジャニーズは単なる社名でなく日本のアイドル文化」(静岡県外、20代、女子学生)と惜しむ声が上がった。
「ジャニーズ」の名称がなくなることについてどう思いますか?
 マスコミにも責任
 問題をめぐるこれまでの経緯をどう受け止めるかの問いには、「過去の告発や民事裁判の時、マスコミが今の熱量で追及していればその後の被害は防げた」(静岡県外、20代、会社員女性)などと、マスコミの責任を問う声が多数寄せられた。ファンを中心に、被害証言に矛盾があるなどとして「被害を訴える人の一方的な証言のみに基づいた報道はおかしい」(静岡県外、60代、パート女性)「被害の検証がない」(静岡県外、50代、公務員女性)との不満も寄せられた。
 静岡市葵区の50代会社員男性は「加害者本人がいない今、本当のことは分からない。過去の追及より、救済と再発防止のための建設的な議論を」と望んだ。
 芸能界全体の問題
 これまでの事務所の対応については評価する人もいた一方、「責任は亡くなった本人と当時の幹部にあり、タレントを幹部にして矢面に立たせるのは違う」(静岡市駿河区、40代、女性会社員)「タレント育成に携わっていた旧幹部が説明しないのは不自然」(静岡県外、50代、会社員女性)などの批判もあった。
 責任の所在について、静岡市清水区の40代自営業女性は「一般人にもうわさは知れ渡っていたにもかかわらず、そんな経営者や事務所を肯定し、社会的地位を確固たるものにしてきたメディアや関係者、私たち大人にも大きな責任がある」との考えを記した。静岡県外の60代会社員男性は「芸能界全体の問題。セクハラ、パワハラなど、どこまで自浄できるかが問われている」と業界の変化を求めた。
 タレント守って
 ファンからは「ジャニーズいじめのような状況で、毎日がつらく、悲しい」(静岡県外、30代、教員女性)と疲弊を訴える声も多数あった。「現在活動中のタレントや元タレントを、性被害を受けたのかという好奇の目にさらさないでほしい」(静岡県外、40代、会社員女性)と願う声や、「デビューを夢見ていた子や応援していた家族など、つぶされた心は無限のはず。それをひっくるめて考える想像力が必要」(磐田市、40代、会社員女性)との問題提起もあった。

ファンの熱意、変革の力に
 アンケートに寄せられた声やファンの心理について、自らもジャニーズのファンで、サブカルチャーやファン文化を研究する日本大国際関係学部の陳怡禎(ちん・いてい)助教に聞いた。
日本大国際関係学部・陳怡禎助教
 ージャニー喜多川氏の性加害問題が取り沙汰される中、回答を寄せたファンのほとんどは「今後も応援を続ける」とした。
 「ジャニーズは日本のアイドルの中でも、活動の域が長いという点で特異。ジャニーズJr.という独自の育成システムもあり、ファンは彼らの成長に寄り添い、感情移入し、一体化する。困難な状況にあるほど、応援したいと思うのは当然だと感じる」
 ーファンに女性が多いのはなぜか。
 「まだまだ男性優位の日本社会で、女性が自ら選択して文化を享受できる数少ない場だったから。ジャニーズのアイドルと従来の日本男性のステレオタイプは真逆で、自分を抑圧しない男性像を見せてくれる存在でもあった。今回の問題では、アイドル文化や女性ファンそのものを否定するような言説もあり、ミソジニー(女性嫌悪)の顕在化を心配している」
 ー今回の問題をどのように見るか。
 「たとえうわさとしてでも長らくあった疑念を、半笑いのような態度で皆が矮小(わいしょう)化し、見ないふりをしたということ。背後にあるのは、日本的なトップダウンの組織運営や男性の性被害を軽く見る風潮、性的少数者への偏見など、社会全体の構造だ。自分も一人のファンとして、また研究者として責任を感じている。問題に対峙(たいじ)するには、それだけ多様な視点が必要だ」
 ースポンサー企業の態度をどう見るか。
 「これまで薄々問題に気付いていながら、タレントを使って商品を売ってきた企業として、ばっさり切るだけというのは社会的責任の放棄ともいえる。企業の対応としては、取引関係をうまく利用し、問題解消に影響力を行使することが求められていると思う」
 ー被害に懐疑的な目を向けるファンも多い。
 「ファンは決して性加害を是認したり、無視したりはしていない。むしろ事実を知りたいと願い、専門家による分厚い報告書を読み込んだり、被害証言と自分の持つ記録を突き合わせるなど努力している。ただ、高まる批判に孤立感を深め、排他的になってしまうファンがいるのも確かだ」
 ー今後については。
 「大事なのは将来に向けた視点。ファンは自分の好きなアイドルの幸せのために、誰よりもクリーンな活動環境を願っている。個人の純粋な思いこそ、社会を変える原動力になるというのが私の持論。ファンの熱意が、健全なアイドル文化の構築につながることを期待している」

 男性の被害防ぐには 訴えやすい仕組み必要
 アンケートでは男性の性被害防止についても意見を求めた。男性の性被害に対する意識の強化を訴える人が多く、「男性も被害に遭うということを社会全体が認識する必要がある」(島田市、40代、会社員女性)
「子供への教育とともに、大人の認識を変えなくては」(掛川市、40代、個人事業主女性)などの声が上がった。
 被害を申告しやすい環境整備が必要とした声も。静岡県外の50代派遣社員女性は「女性も同様だが、相談しやすく、被害を訴えやすい仕組みが必要」(静岡県外、50代、派遣社員女性)とした。沼津市の20代会社員女性は「いまだに根強い『男は強くあれ』という意識を変えないと、男性は訴えにくい」と、ジェンダー平等意識の浸透が重要と指摘した。「被害に遭うのは恥ずかしいという認識を変えなくては」(静岡県外、40代、会社員女性)との声もあった。
 性加害への対応を厳格化すべきとの声もあり、性犯罪に関わる法改正が進む中でも、掛川市の40代公務員女性は「日本はまだ加害者に甘い」との見方を示した。静岡県外の50代の会社員女性は「意に沿わない性行為は犯罪で、許されないという意識を浸透させなくては」と記した。

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