テーマ : 読み応えあり

生鮮カツオ、記録的不漁に 水揚げ1位の宮城・気仙沼 震災時下回り地元困惑

 生鮮カツオの水揚げ量では26年連続1位の宮城県・気仙沼が記録的な不漁に直面している。2022年は約8400トンと全盛期の2割程度で、2位の千葉県・勝浦と約100トン差で首位に踏みとどまった。東日本大震災で港が被害に遭った11年でも約1万4500トンを水揚げし、地域経済に貢献してきたカツオの不漁に地元も困惑している。

気仙沼魚市場で生鮮カツオを品定めする入札関係者=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で生鮮カツオを品定めする入札関係者=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で生鮮カツオを品定めする入札関係者ら=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で生鮮カツオを品定めする入札関係者ら=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
生鮮カツオの漁場
生鮮カツオの漁場
気仙沼魚市場で生鮮カツオを品定めする入札関係者=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で生鮮カツオを品定めする入札関係者ら=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
気仙沼魚市場で入札に出された生鮮カツオ=2022年11月、宮城県気仙沼市
生鮮カツオの漁場

 近海で取れ冷凍の必要がなく、臭みのない新鮮な生鮮カツオは、特に秋には「戻り鰹」と呼ばれ、刺し身でトロのような味わいを楽しめる。カツオ全体では冷凍ものを大型船で水揚げする首位の焼津(静岡県)に大きく水をあけられているが、生鮮水揚げ量1位のブランドは、気仙沼の地域経済に大きな意味を持ってきた。
 昨年11月初旬、漁を終えた5隻が気仙沼に入港した。いずれも水揚げはわずか。「今年みたいな海は初めてだ」と三重県の一本釣り漁船「三幸丸」の漁労長石倉孝文さん(56)はため息をついた。通常は1回の漁で20~30トンの漁獲が、多いときでも10~20トン程度。大群が少なく、燃料も高騰しており、普段は11月半ばまで続ける漁をこの日で切り上げた。「もう(漁に出る)値打ちがない」
 不漁の原因は、海水温の上昇や回遊ルートの変化などが想定されるが、「分からない」のが現状だ。水産資源研究所(横浜市)の青木良徳主任研究員によると、カツオは暖かい南の遠洋で産卵。北上し、親潮と黒潮のぶつかる三陸沖で成長した後、南下する。その途上で戻り鰹が取れるが、22年は三陸から漁場が東側に遠く、数も少なかった。
 個体に標識を付け、回遊状況を調べるなどデータ収集を進めているが、行動変化の要因や、漁獲制限が必要となるような状況かはつかめていない。「カツオは飼育環境下で研究しづらく、研究者も少ない。(謎が多いとされる)ウナギよりも成育実態が分かっていないかもしれない」と青木氏は話す。
 「気仙沼市生鮮かつおプロモーション事業実行委員会」の阿部泰浩委員長によると、豊漁であれば、地元の氷、発泡スチロール、冷蔵倉庫、加工の各業者、飲食店に至るまで広く潤う。「1位でなくなれば消費地の引き合いや価格も変わってくる」と話し、首位陥落した場合、漁船が気仙沼から離れるという危機感を抱く。
 阿部氏は今後も不漁は続くとみて、低温管理の徹底や加工流通の早さなど港としての信用度を高める考え。「限られた資源の中でやっていくには、漁場が変わっても『水揚げするのは気仙沼』と思ってもらえる港にすることが重要だ」と強調した。

いい茶0

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞