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静岡市長、静岡県の姿勢批判 燕沢残土「災害時責任、JRだけでない」【大井川とリニア】 

 静岡市の難波喬司市長は5日、リニア中央新幹線トンネル工事の環境影響評価に関する市協議会を前日に開催したことを受け、市の考えを改めて説明する記者会見を市役所静岡庁舎で開いた。JR東海が大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに計画するトンネル残土置き場の災害時の影響に関する静岡県と同社の議論について、「大規模災害発生時の責任をJRにだけ求めるのはおかしい」と県の姿勢を批判した。

マグネットを使って燕沢残土置き場の環境影響評価について説明する静岡市の難波喬司市長=5日午後、市役所静岡庁舎
マグネットを使って燕沢残土置き場の環境影響評価について説明する静岡市の難波喬司市長=5日午後、市役所静岡庁舎

 市協議会では、燕沢上流部の上千枚沢などで大規模な深層崩壊が発生し、高さ100メートルに及ぶような土砂ダムが形成された場合を想定し、燕沢の盛り土の影響を検討した。
 難波市長は会見で、盛り土の存在が災害危険度を高めるケースがあると認めた一方で、盛り土とは関係なく、より災害危険度が高い土砂ダムの形成が想定されると指摘した。その上で、「河川を管理する県は、JRに(盛り土が被害を拡大させる状況に)対処すべきという前に、最大危険度(の想定ケース)に対処しないといけない」と述べた。
 加えて、「県はどういう環境影響評価を行えばいいのか整理できていない」とし、JRとの間で盛り土の災害リスクに関する議論がかみ合っていない県有識者会議専門部会の姿勢をけん制した。
 一方、燕沢の盛り土の対岸にある下千枚沢から土砂が流入し、土砂ダムが形成されるケースでは「盛り土に直接影響する」との認識を示し、次回以降に詳しく検討するとした。
 会見の1時間前から入念に準備していた難波市長。ホワイトボードにマグネットを貼り付けて土砂ダムの状況を再現するなど1時間7分にわたって考えを説明した。
 (政治部・尾原崇也)

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