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国会議座長見解に異論 静岡市長「必要な調査すべき」 南アルプス環境調査【大井川とリニア】

 静岡市の難波喬司市長は8日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事の環境保全に関する国土交通省専門家会議の中村太士座長(北海道大教授)が、静岡県が求める追加の生物調査などに否定的な見解を示したことについて、「必要があれば、時間がかかってもちゃんとした調査をやらないといけない」と異論を唱えた。

リニア工事環境保全に関する国専門家会議の報告書について見解を述べる静岡市の難波市長=市役所静岡庁舎
リニア工事環境保全に関する国専門家会議の報告書について見解を述べる静岡市の難波市長=市役所静岡庁舎

 中村座長は7日、リニア工事に伴う南アルプスの生態系への影響や対策に関する報告書を斉藤鉄夫国交相に提出した後、取材に応じた。大井川上流部の沢に生息する水生生物への影響予測や保全措置を適切に行うために県が追加調査の必要性を指摘したのに対し、座長は「2、3年かけて調査しても、全てが分かるわけではない。社会的な要請として時間がかかり過ぎる」と述べた。
 難波市長は会見で「時間がないからとか、社会的にそうなっているからとかで調査をやらなくていいということは賛同できない」との見解を示した。一方で、必要な調査に年単位の時間を要することにも否定的な考えを示し、市協議会で適切な方法を探るとした。
 今後、県と市がそれぞれJR東海との間で協議を進め、同社の環境保全措置についての合意を目指す。難波市長は、報告書の内容自体は「県で議論していた時とは全く違う高いレベルの検討がされた」と評価し、「(報告書を)基礎にすれば、さらなる検討は可能」と議論の進展を見据えた。
 (政治部・尾原崇也)

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