テーマ : 大井川とリニア

田代ダム案、東電と協議入り JR東海 当事者間議論動き出す

 JR東海は22日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策として静岡県などに提示した「田代ダム取水抑制案」について、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と具体的な協議を開始したと発表した。JRが2022年4月、県有識者会議の専門部会にダム案を提示してから1年2カ月。実現に向けて当事者による議論がようやく動き出すことになった。
 JRが東電RPとの協議開始にあたり大井川流域市町などに了解を求めた前提条件について県が14日、市町の意見を取りまとめた上で同社に修正案を提示していた。JR側の前提条件に歩み寄る形に修正していて、丹羽俊介社長も15日の記者会見で協議入りに前向きな考えを示していた。
 JRによると、県が意見を取りまとめた大井川利水関係協議会の会員以外に、東電RPが事前了解を取る必要がある関係者として挙げていた国土交通省、山梨県、同県早川町、静岡市の4者からも22日までに協議開始の了解が得られたという。
 ダム案は、山梨県側と静岡県側の双方から掘り進めるトンネル先進坑がつながるまでの間、静岡県内で発生するトンネル湧水が山梨県側に流出する問題に対し、大井川上流部にあるダムの取水を流出量と同量抑制することで大井川表流水への影響を防ぐ方策。実現すれば、県などが求めている「トンネル湧水の全量戻し」がかなうことになる。JRと東電RPの協議内容には、先進坑掘削に先行して実施する高速長尺先進ボーリングに伴う湧水の県外流出に対してもダム案を適用することが含まれる。
 (政治部・尾原崇也)

いい茶0

大井川とリニアの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞