テーマ : 大井川とリニア

山梨県ボーリング 地下水流出リスクで譲歩 静岡県有識者会議でJR

 リニア中央新幹線トンネル工事に伴う大井川水問題について協議する県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が26日、県庁で開かれた。JR東海は、山梨県内で静岡県境に向けて実施している高速長尺先進ボーリングを巡り、静岡県内の地下水が流出する可能性について譲歩し、水の戻し方や戻す時期を県と議論する考えを示した。

 リニアトンネル工事の山梨県での高速長尺先進ボーリングについて議論した県有識者会議の専門部会=26日午前、県庁
リニアトンネル工事の山梨県での高速長尺先進ボーリングについて議論した県有識者会議の専門部会=26日午前、県庁
 リニアトンネル工事の山梨県での高速長尺先進ボーリングについて議論した県有識者会議の専門部会=26日午前、県庁

 具体的には、県境から山梨県側に約250メートルの区間に想定される断層帯を削孔(さっこう)した際に大量湧水が発生し、県境付近の静岡県側にある大規模な断層帯から山梨県側に地下水が移動。これに伴い、同断層帯に関連する沢の流量が減少する事態などを想定した。
 湧水の成分分析や沢のモニタリングを通じ、地下水の県外流出が発生したと考えられる場合は専門家も交えて県などと協議し、流出量を推定するとした。JRの担当者は水の戻し方については、先進坑掘削に伴う湧水の県外流出対策として提案している田代ダム取水抑制案の活用が有力と説明した。
 一方でJRは、これまでの山梨県内でのボーリング実施状況を踏まえ、「静岡県が懸念しているような大量湧水や自然環境への影響が生じる可能性は小さい」と改めて強調した。
 県と専門部会委員は、県内の地下水が流出する懸念がある区間を削孔する前にどういった事態が発生したら県外流出とみなすかを決め、田代ダム案の実現性も前もって確認するよう求めた。JRの担当者は「懸念が払拭(ふっしょく)できるよう努める」と答えつつ、ボーリングを計画通り県境付近まで進める考えを示した。
 同社は同日、山梨県でのボーリングに伴って静岡県内で想定される現象と、その対処方法も提示した。

いい茶0

大井川とリニアの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞