テーマ : 大井川とリニア

実測値で影響予測を リニアトンネル工事での流量変化 静岡県が国に意見送付

 静岡県は21日、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う南アルプスの自然環境への影響について協議する国土交通省専門家会議のこれまでの議論に関して県専門部会委員の意見を取りまとめ、同省に送付した。大井川上流域の沢の流量減少予測について、文献値ではなく実測値を用いるようJR東海を指導することを求めた。
 JRは6月下旬に都内で開かれた第10回会議で、トンネル掘削により大井川上流域の沢35カ所のうち7カ所で10%以上の流量減少が予測され、このうち1カ所ではトンネル湧水を低減させる工法を施しても渇水期に流量が極めて小さくなるとする解析結果を示していた。
 県は同省に送付した文書の中で、JRが水収支解析に使用した予測モデル「上流域モデル」は主に文献値を用いているとし、これまでのボーリング調査で得られている県境付近の断層破砕帯の位置や幅、有効間隙(かんげき)率の実測データを用いて解析するよう求めた。
 JRが同会議の中で、沢に生息する水生生物について「沢の流量変化が生じた場合であっても、大井川上流域全体として、流量減少の傾向が見られない沢において同一の種は存在し続ける」との検討結果を示したことについては、国専門家会議委員からも否定的な意見が挙がったとし、拙速な評価を行わないようJRを指導することを要望した。

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