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残土置き場結論出ず 静岡県専門部会委員「適地広く検討を」【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事の大井川減水問題について協議する静岡県有識者会議の地質構造・水資源専門部会が3日、県庁で開かれ、JR東海が計画するトンネル残土置き場の安全性について議論した。

リニア工事のトンネル残土置き場について議論した静岡県有識者会議専門部会=3日午後、県庁
リニア工事のトンネル残土置き場について議論した静岡県有識者会議専門部会=3日午後、県庁

 JRは、発生残土のほとんどを置く計画の大井川上流部の燕(つばくろ)沢残土置き場に関し、周辺で土砂崩れが起きて残土が流出したとしても、下流で最も近くにある椹島(さわらじま)ロッジへの影響はないとのシミュレーション結果を示し、理解を求めた。これに対し、委員や県幹部から、自然環境に与える影響を低減できる適地がほかにないか検討すべきとの意見が上がり、引き続き協議することになった。
 JRは人命、財産保護の観点から、登山者が滞在する椹島ロッジへの影響の有無を検討した。周辺で大規模な土砂崩れが同時多発的に発生し残土置き場の一部が崩壊した場合でも、流れ出る土砂量は6・6万立方メートルにとどまり、椹島ロッジ地点では影響を及ぼさないとした。
 塩坂邦雄委員(地質専門家)は「(残土を)盛り土することで谷幅が狭まり、土石流の緩衝地帯としての機能が低下する」と自然環境を改変することへの懸念を示し、ほかに適地がないか再検討すべきと主張した。県の石川英寛政策推進担当部長は「何を基準に(適地かどうか)判断するのか、認識を共有する必要がある」と述べた。
 JRが静岡県境に向けて山梨県内で実施している高速長尺先進ボーリングの湧水の取り扱いについても前回に引き続き議論した。山梨県内を削孔(さっこう)した際の湧水に静岡県の地下水が含まれていた場合、どう判定し、静岡県側に戻すかについてJRが対応を説明したが、同専門部会の結論は出なかった。JRはこのほか、これまでに実施したボーリングで地質状況が確認できたとし、静岡県境まで459メートルの地点まで山梨県側の先進坑を堀り進める考えを示した。

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