テーマ : 大井川とリニア

記者コラム「清流」 “戦場”での心遣い

 「囲み」や「ぶら下がり」と呼ばれるインタビュー取材では、対象を追い、立ち位置を争うカメラマンや記者で戦場と化す。この1年、何かと騒動の多い静岡県庁での取材で先日、久々にすてきな光景を目にした。
 リニア中央新幹線問題を巡る国土交通省鉄道局長と知事の面会は、予定より30分余り延び、待機する取材陣の雰囲気は殺伐とした。
 取材陣の後方で、大きなおなかを抱えて待つ女性記者に、県職員がさりげなく丸椅子を差し出した。記者は助かったという表情で座って発言に耳を傾け、終了後に職員に頭を下げた。
 会見での知事と記者の激しい応酬は時に対立に映る。ただ、県民に情報を届ける共同作業の側面もある。県に懐疑的な思いが募ることもあるが、人間らしい行動ができる職員が県庁を支えていると安心した。
(政治部・青島英治)

いい茶0

大井川とリニアの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞