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周辺自治体、地域振興求める 静岡県、環境保全へ意見交換会【大井川とリニア】

 静岡県は24日、リニア中央新幹線トンネル工事が影響を与える南アルプスの自然環境の保全について、地元関係団体との意見交換会を県庁で開いた。国に提出する意見書を今後まとめるため、地元関係者から意見や懸念を聞き取った。出席者からは環境保全とともに、地域振興を図るよう求める声が上がった。

リニア工事に伴う自然環境の保全をテーマにした県と地元関係団体との意見交換会=24日午後、県庁
リニア工事に伴う自然環境の保全をテーマにした県と地元関係団体との意見交換会=24日午後、県庁

 静岡市役所井川支所、川根本町役場総合支所をオンラインで結び、自治会や環境団体、企業など約20団体の代表者が参加した。県の担当者は、国の専門家会議が9月に提示した生態系に関する「報告書案」や、県専門部会での議論について説明し、影響予測や生物調査の不足などが課題と指摘した。
 南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークの西畑武会長は、高山植物への影響が長期間を経て現れることを懸念し「将来的に観察していく方法を計画の中に入れてほしい」と訴えた。井川観光協会の森竹史郎代表理事は、リニア事業を含む社会経済活動の重要性を認識した上で「自然は崩れたら元には戻らない。影響をなるべく抑える最善の方法を取ってほしい」と述べた。
 自治会関係者からは「実際にネットでたたかれることもあり、一番発言できないのが地元住民」と切実な声も聞かれた。JR東海、県、市町が協力してリニア整備と自然への影響低減の両立策を模索するよう求める意見も出た。
 森貴志副知事は意見交換会後の取材に「地域を振興する上でも、自然環境の保全の大切さをみんな共通して持っていると改めて感じた」と述べ、国の「報告書案」に対する疑問点などと合わせて意見書に盛り込むとした。

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