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高山植物巡り「議論必要」 静岡市長 国報告書と異なる見解【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事に関する静岡市の事業影響評価協議会(会長・増沢武弘静岡大客員教授)は16日、第15回会合を市役所静岡庁舎で開き、国土交通省専門家会議による報告書で示された南アルプスの環境保全措置について課題を協議した。難波喬司市長は高山植物について「地下水位の低下により影響が生じる可能性がある」と報告書とは異なる見解を述べ、JR東海に追加の調査や分析を求める意向を示した。

国の報告書に対する課題認識を委員に説明する難波喬司市長(左奥)=16日午後、静岡市役所静岡庁舎
国の報告書に対する課題認識を委員に説明する難波喬司市長(左奥)=16日午後、静岡市役所静岡庁舎

 2023年12月にまとめられた国の報告書では、JRの調査結果に基づき、「(高山植物の)水分の供給経路は地下深部の地下水ではない」と結論付け、トンネル掘削に伴う地下深部の水位変化は高山植物に影響しないとした。
 難波市長は、千枚小屋(標高約2620メートル)付近の沢も高標高部に含まれるとした上で、現時点での調査では未把握の地下深部とつながる水の通り道がある可能性を指摘。トンネル掘削で小屋周辺の湧水が減少し、植物に影響が表れるリスクを提起した。「(報告書のように)地下水位の低下が影響しないと言い切るのではなく、もう少し丁寧な議論が必要ではないか」と疑問を呈し、結論を出すのは早計との認識を示した。
 このほか、市の担当者は、影響が確認された状況ごとに適宜対策を講じる「順応的管理」について、施工開始の前後でモニタリング結果を比較し、保全措置を修正する必要性を強調した。
 (政治部・大沼雄大)

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