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地下水低下でも花畑に影響なし リニア国交省会議 JR東海、調査結果

 リニア中央新幹線トンネル工事が南アルプスの自然環境に与える影響について議論する国土交通省の第12回専門家会議が30日、都内で開かれた。JR東海は、工事で地下水が低下した場合も、高山帯のお花畑には影響を及ぼさないとする調査結果を説明した。

国土交通省専門家会議の委員の主な意見
国土交通省専門家会議の委員の主な意見

 JRは昨年9月から、南アルプス国立公園区域内にある荒川岳を中心に掘削調査や電気探査を実施。地質構造や含水状況を確認し、高山植物が根を下ろす地表付近の土壌水と、トンネル掘削箇所付近の地下水とに連続性があるかを分析した。地表付近の地層の下には、水分ではなく空気を多く含んだ角礫(れき)層があったと説明し、地表付近の土壌水は「地下深部の地下水ではないと考えられる」と評価した。そのため、地下水が低下してもお花畑に影響はないと結論づけた。
 委員からは、年間を通じた調査を求める意見や、植物の根は想定よりも深い地層まで張っているとの指摘があった。
 会合では、県がJRに求めている、沢の流量減少が生態系に与える影響の事前予測と対策について、専門家との認識に食い違いが見られた。
 オブザーバーの森貴志副知事が、今後の議論で取り上げることを要望すると、北海道大教授の中村太士座長(生態系管理学)が「マイナスの影響を最小限にすることで、生態系全体への影響を最小限に抑えようというのが今回の議論だ。一種一種に対して全てを明らかにすることを期待するのなら、私の考えとは違う」と難色を示した。
 大阪公立大客員研究員の竹門康弘委員(生態系管理学)は「生態系への影響はもちろん想定するが、数値的な予測までは難しい」と述べた。
 県は21日、国交省にJRを指導するよう要望する文書を送っていた。森副知事は「起きてしまったことを振り返って解説するのではなく、事前に予測して対応しなければならない」と強調した。
 (東京支社・山下奈津美)

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