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国モニタリング会議座長に矢野氏 川勝知事と親交 差配注目【大井川とリニア】 

 29日に国が初会合を開いたリニア中央新幹線の「モニタリング会議」の座長には公益財団法人産業雇用安定センター(本部・東京都)会長の矢野弘典氏が就任した。国土交通省によると、専門分野は人材育成や地域づくり。以前から川勝平太静岡県知事と親交があり、一般社団法人ふじのくにづくり支援センター(静岡市葵区)の理事長も務めている。川勝知事に近いとされる矢野氏が、会議でどのような差配をするか注目される。

リニア工事モニタリング会議であいさつする矢野弘典座長(中央)=29日午後、東京都
リニア工事モニタリング会議であいさつする矢野弘典座長(中央)=29日午後、東京都

 座長の人選については、川勝知事が候補者の具体名を挙げるなどこだわりを見せていた。初会合後の記者会見で、国交省側は「選定理由やプロセスについて答えは差し控える」としたが、森貴志副知事は矢野氏を「静岡をよくご存じで公平中正にやっていただける。申し分ない」と評価した。
 県関係者は「県にも国にも顔が利く絶妙な人選で、知事も文句を言わない。間を取り持つ役割を期待した『川勝シフト』ではないか」と狙いを推測した。
 矢野氏自身は初会合の冒頭あいさつで、中日本高速道路会長時代に見届けた東海北陸自動車道飛騨トンネルの難工事に言及し、「この事業経験を役立てたい」と抱負を述べた。会議で重視すべき点として、モニタリング結果を踏まえた臨機応変な対応▽県とJRとの十分な話し合い▽動植物の生息分布や地下水の在り方について行政区分にとらわれない-の3点を挙げた。
 モニタリングと事業計画は表裏一体だとし、影響が確認されたら適宜対策を講じる「順応的管理」の手法は「事業の基本定石だ」と評価。その上で「自然を相手にする場合、やってみないと分からないことが必ずある。想定内を増やす努力は必要だが、想定外のことが起こっても対応できるように」と注文した。
 (東京支社・山下奈津美)

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