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田代ダム案了解で最終調整 静岡県と流域市町、実施前説明を付言 リニア・トンネル工事

 リニア中央新幹線トンネル工事で生じる湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」を巡り、静岡県と大井川流域市町は、JR東海が10月に示した具体的な実施案を了解する方向で最終調整していることが24日までの関係者への取材で分かった。ただ、実施案には県外流出量と同量の取水抑制ができない状態が続いた場合の対応が記されていないため、実施前に説明するよう付言する見通し。
 県は、大井川流域の市町や利水団体で構成する大井川利水関係協議会の意見を取りまとめ、来週中にもJRに送付する。県有識者会議の専門部会委員からも意見が寄せられているとし、同部会で引き続き、田代ダム案の実現性に関する協議を続けることも要請する考え。
 JRは、県内工事区間で一定期間、県外に流出する地下水を戻す方策として、田代ダム(静岡市葵区)を管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)が県外流出量の1週間分の平均値と同量を翌1週間に取水抑制する実施案を提示した。県外流出量に対して取水抑制量が不足する場合は、翌々週以降に不足分を加味する形で対応するとした。
 関係者によると、流域市町は実施案の内容におおむね理解を示している。一方で、取水抑制量が不足する状態が続いた場合や、突発湧水発生時など想定外の事態が発生した場合の対応について実施案には記載がないため、説明を求める声が一部の市町から上がったという。
 JRは6月に東電RPと田代ダム案の具体的な協議を始め、実施案をまとめた。10月25日に大井川利水協の事務局を務める県に対し、同会員の意向をまとめるよう要請していた。
 (政治部・尾原崇也)

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