テーマ : 大井川とリニア

「生態系への影響で判断を」 燕沢への残土置き場計画 川勝知事会見

 川勝平太知事は8日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事で発生するほとんどの残土を大井川上流部の燕(つばくろ)沢近くに盛り土するJR東海の計画について「生態系への影響を(適地かどうかの判断基準として)考えるべき」と述べた。人の営みへの影響を基準に適地かを判断するとしたJRの考え方について「部分的なことに矮小(わいしょう)化してはだめだ」と否定的な見方を示した。
 知事は、燕沢周辺は山体の深層崩壊による土砂崩れが起きやすい地形だと指摘した。谷地形の河原に大規模な盛り土があることで土砂ダムができやすくなり、ダム決壊時に「水質にも生態系にも甚大な影響が出る」と懸念を示した。
 燕沢から最も近くにある施設の椹島(さわらじま)ロッジで影響が生じるかどうかの検討結果をJRが3日の県専門部会で示したことに、知事は「人のことだけ考えていては具合が悪い」と指摘した。土砂ダムが決壊したとしても椹島ロッジ地点で影響はないとするJRのシミュレーションについても「起こりうる最悪の事態を想定していない」と批判した。
 燕沢の残土置き場計画を巡っては3日の県専門部会で、委員が候補地を再検討するべきとの考えを示した。これに対しJRの担当者は2017年1月に同計画を示してから6年以上経過しているとし「ここへきて、最初から探してくださいというのはちょっと受けがたい」と反発していた。
 知事は会見で、14年3月に出したリニア工事の環境影響評価準備書に対する知事意見で「残土置き場は生態系全体や景観への影響も考慮した調査を実施した上で、対策を講ずることを求める」と述べていることに触れ、議論はその一環と強調した。
 (政治部・尾原崇也)

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