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取水抑制「1週間単位」 田代ダム案 JR、東電と協議【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事湧水の県外流出対策「田代ダム取水抑制案」についてJR東海は、1週間単位で取水抑制することを前提に、田代ダム(静岡市葵区)を管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)と協議していることが12日までに、関係者への取材で分かった。県外流出量に対して取水抑制量が足りない場合の対応も検討していて、翌々週以降に不足分を加味する形で抑制量を増やし、調整を図る案を検討している。

JR東海が検討する田代ダム取水抑制案の運用イメージ
JR東海が検討する田代ダム取水抑制案の運用イメージ

 JRは9月下旬から、これらの前提について県や大井川流域市町、利水団体などに説明を始めた。関係者の理解を得た上で、東電RPとさらに具体的な協議を進める考えを示しているという。
 関係者によると、JRと東電RPが検討している案は、東電RPが県外流出量の1週間分の平均値と同量以上を翌1週間に取水抑制する内容。まず、JRが県外流出量を測定し、県と、流域市町などで構成する大井川利水関係協議会に報告する。翌週に取水抑制を実施した東電RPは結果をJRに報告し、湧水が県外流出する工事期間中、これを繰り返す。
 県外流出量に対して取水抑制量が不足する場合は、翌々週以降の実施可能な週に不足分を加味して取水抑制を実施するとしている。
 ただ、大井川中下流域が最も水を必要とする時期に取水抑制できないケースも想定され、県の関係者は「県専門部会で案の妥当性の検討が必要」との認識を示す。
 東電RPは冬場でも発電施設を安定して運転するために最低でも毎秒0・81トンの取水を必要としているが、JRは、この取水量を確保せずに取水抑制を行うケースについても東電RPと協議していくとしている。
 田代ダム取水抑制案は、トンネル工事で県内の水資源が流出する問題に対し、大井川上流部にある田代ダムで流出量と同量取水抑制することで大井川中下流域への影響を防ぐ方策。JRは6月、東電RPとの協議開始を発表した。
 (政治部・尾原崇也)

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