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田代ダム案「条件」協議 静岡県、慎重姿勢崩さず 流域は7市町賛成【大井川とリニア】

 静岡県庁で27日に開かれた大井川利水関係協議会で、出席した大井川流域9市町のうち7市町の首長(袋井市長は欠席)が、リニア中央新幹線トンネル工事に伴う湧水の県外流出対策としてJR東海が示した田代ダム取水抑制案について、ダムを管理する東京電力リニューアブルパワー(東電RP)との間で協議を開始するよう求めた。一方、県は、JRが示した水利権との関係に関する文書について「修正が必要」との認識を示し、協議開始に慎重な姿勢を崩さなかった。

おおいがわ流域市町の首長、副知事の主な発言
おおいがわ流域市町の首長、副知事の主な発言

 JRは田代ダム案について東電RPとの協議を開始するにあたり「ダム案は東電RPの水利権に影響を与えない」との前提条件に同意するよう県や流域関係者に求めた。JRは27日の同協議会で、2025年末に更新期限を迎える田代ダムの水利権(取水量)と河川維持流量を巡る東電RPと流域関係者との間の議論に影響を与えないとの意味だと説明した。
 水利権を巡る議論は、関係協議会とは別の「大井川水利流量調整協議会」で行っている。森貴志副知事は関係協議会で合意しても実効性を担保できない可能性があるとして「(文言に)修正の余地がある」と述べ、修正案を速やかにJRに提示したいとした。
 JRがこのほかに協議開始の条件として示したダム案の実施期間について、染谷絹代島田市長が「(山梨、静岡両工区の)先進坑がつながって(湧水を)ポンプアップできるようになるまで」と明記するよう求め、JRは応じる考えを示した。「協議内容に高速長尺先進ボーリングの湧水に対してダム案を適用することも含む」との条件については、JRは、山梨県から静岡県内を削孔(さっこう)した際のボーリングを指すと説明し、県が求めている山梨県側の県境付近のボーリング湧水の適用は考えていないとした。
 (政治部・尾原崇也、大沼雄大)

県境ボーリング 新たな削孔なし 20~25日、JR東海
 JR東海は28日、リニア中央新幹線トンネル工事を巡り山梨県から静岡県境に向けた高速長尺先進ボーリングの進捗(しんちょく)について1週間分の情報を更新し、ホームページで公表した。20~25日は孔壁(こうへき)を保護するための作業を行い、新たに削孔(さっこう)しなかった。削孔位置は県境から693メートル地点のまま。湧水量はほとんどなかった。

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