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計画地の災害想定 静岡県、リスク提示へ リニア残土置き場 難波氏指摘受け

 川勝平太知事は22日の定例記者会見で、リニア中央新幹線トンネル工事の残土置き場に関する議論を巡り、静岡市の難波喬司市長が静岡県の環境影響評価の考え方に疑問を呈したことについて「もっともな発言」と述べ、理解を示した。2022年11月まで県のリニア問題の責任者を務めていた難波市長の見解を踏まえ、残土置き場が計画される大井川上流部での大規模な土砂災害発生を想定し、対策を検討する考えを強調した。
 JR東海はリニア静岡工区で発生するトンネル残土の大半に当たる約360万立方メートルを大井川上流部の燕(つばくろ)沢付近に盛り土する計画を示し、県専門部会で環境影響評価の議論が続いている。難波市長は6日に開かれた市のリニア協議会で「まず河川管理者である県がどういう災害リスクがあるのか示すべき」と述べ、県側の対応に疑問を投げかけていた。
 会見で川勝知事は、近年の災害の激甚化を受け、深層崩壊など大規模な土石流を想定した対策の検討を内部で指示したとし、「難波市長も優れた知見を持っている。一緒に(被害想定を)シミュレーションしていければ」と呼びかけた。
 難波市長が、燕沢を残土置き場にすることを前提に議論することを「否定する理由はない」と発言したことについては、知事は「難波さんの言う通り、否定する理由はない」と発言。「(燕沢は)不適」とするこれまでの発言を修正した。一方、燕沢付近で大規模な深層崩壊が起こるとの市リニア協議会委員の指摘を理由に「安全性への懸念は持っている」とし、県専門部会で議論を続けるべきとの考えを維持した。
 岸田文雄首相がことし1月に、リニア開業後の県内の東海道新幹線停車本数増に向けた調査を夏までにまとめる方針を示しながら、現段階で発表がないことについて、川勝知事は「暦の上では秋。どうなっているのか。きっちりと首相として言ったことを示してほしい」と苦言を呈した。

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