テーマ : 大井川とリニア

リニア工事 河川水温10度上昇 トンネル湧水戻す椹島付近 JR東海が予測

 東京都内で14日に開かれたリニア中央新幹線トンネル工事に伴う自然環境への影響を議論する国土交通省第7回専門家会議で、JR東海は、トンネル湧水を大井川に戻すことに伴う河川の水温変化について椹島(さわらじま)付近で最大10度上昇する予測結果を示した。京都大准教授の竹門康弘委員(生態系管理学)は魚類や水生昆虫の生育への影響に懸念を示した。

河川水温変化の予測(椹島付近)
河川水温変化の予測(椹島付近)
国土交通省専門家会議の委員が示した主な意見
国土交通省専門家会議の委員が示した主な意見
河川水温変化の予測(椹島付近)
国土交通省専門家会議の委員が示した主な意見

 トンネル湧水の水温は大井川上流部の西俣付近にある深さ400メートルの井戸水の実測値を、トンネル湧水量は薬液注入など低減対策を実施しない予測最大値の毎秒3・4トンをそれぞれ用いて計算した。1年の中で河川流量が少ない上、水温が低い冬場に影響を受けやすく、1月に平均2度程度の水温が12度程度に上昇すると予測した。
 JRは対策として湧水を積雪と混ぜたり、沈砂池で外気にさらしたりした後に河川に放流する方策を示した。
 大井川の水質への影響については、水質の濁りに関する指標である「SS」(浮遊物質量)の数値予測を示した。JRが定めるSSの管理基準最大値の1リットル当たり25ミリグラムで湧水を放流した場合、椹島付近の水質は最大で12月に現況の同2ミリグラム程度から同16・3ミリグラムへと悪化する結果を提示した。
 JRはこれまでに実施した沢の動植物調査や、高標高部の影響調査手法について説明し、委員と意見を交わした。
 椹島には、トンネル湧水を大井川に戻す導水路トンネル出口の設置が計画されている。
 (政治部・尾原崇也、東京支社・岡田拓也)

いい茶0

大井川とリニアの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞